違和感

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 やがて、T字路にさしかかりました。ここを左に曲がれば、Mさんの家はすぐそこです。  ほっと息をついたMさん。  塀が途切れて、家へと続く道が見えました。  そこで、Mさんはぎょっとしました。  太陽が、これまで塀があった方角に見えたのです。  当たり前ですが影というのは、光の差してくる方向と逆側にできます。  なので、太陽とMさんの間にあった塀にMさんの影が、それも色濃く映るはずはないのです。  そうか。違和感の本当の正体は影だったんだ。  そう思うと同時に、Mさんは背筋に冷たいものが流れるのを感じました。  それから怯える心を奮い立たせ、来た道を少し戻ってみたのですが、塀には影なんて映らなかったそうです。
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