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これは、大学のときの友人のMさんから聞かせてもらった話です。
Mさんが高校生のときの出来事。
当時Mさんは帰宅部で、夕方の早い時間には家路につくという生活を送っていたそうです。
ある、秋の日。
その日もMさんは学校が終わると、まっすぐ家に帰ろうとしていました。
よく晴れた日のことで、いつもの通学路を夕日が鮮やかに照らしています。
あかね色に染まる住宅街を、左手にある塀に沿って歩いていました。夕日の輝きのせいか、塀にはMさんの影が色濃く映っていました。
何の変哲もない、いつもと変わらない帰り道だったのですが、Mさんはどこかに違和感を抱いていました。
なにがおかしいんだろう?と自問しながら歩いていると、住宅街が妙に静かであることに気づきました。普段は、学校帰りの子どもの声や主婦の井戸端会議が賑やかに聞こえる道です。それが、この日に限ってやけにしんとしていました。
少し気味が悪くなったMさんは、急ぎ足で自宅に向かいました。
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