99%の私たち

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選手権はベスト8で敗退してしまったし、うちの高校からはプロの選手になった生徒はいなかったが、この2人が中心となって戦ったチームは最高だった。グラウンドの中でも外でも、彼らは本当にいいコンビだった。 「そういえばさ、上杉の初恋って誰?」 駅へ向かいながら私は上杉に尋ねた。文武両道で物腰柔らかな彼は幼稚園の頃から女の子にモテていたが、彼の方から女の子にアプローチしているところを私は見たことがなかった。 「俺、知ってるー」 いっちゃんがにやにや笑う。上杉はこつりと彼の頭を小突いた。 「言うなよ」 「どーすっかなー、言っちゃおっかなー」 「私にだけ隠すなんて酷くない?」 私は一応すねてみたが、昔からこういうことは時々あった。幼なじみ3人組といっても男子2人だけの聖域はあるし、私にも彼らに打ち明けていないことはある。 「何か、俺、生きとし生けるすべての人間たちを尊敬するわ」 駅前の大きな交差点で足を止めた時、いっちゃんがやけに真面目な顔で言った。また馬鹿が馬鹿なことを言い出したのかなあと思ったら、目がなかなかマジだった。 「だって、99%の奴が、初めて好きになった奴と結ばれなかったんだろ?みんな、大なり小なりの失恋や別れを経験して、忘れられない誰かを胸の中にこっそり隠して、平然と生きてるってことなんだろ?すげーよ。俺なら立ち直れねーもん」
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