リビングアローンレディ

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 翌日、仕事を終えて帰宅すると、玄関ポストに一枚の紙が挟まっていた。引き抜くと、宅配会社の不在票だ。  不在票を覗き込み、玄関で靴を脱ぎながら後ろ手に鍵を閉める。もう届いたんだ と驚きながら室内へ入る。  不在票には、ドライバーの携帯電話番号が記載されているが、ナンバーを手打ちするのが面倒で発信履歴から宅配会社へ電話する。コールが鳴っているのを聞きながら、無意識にテレビをつける。  『こんばんは、本日のニュースです。』    電話が繋がり、ガイダンスにそって伝票番号を入力することになった。これならドライバーへ直電すればよかったと後悔する。  「伝票番号が該当しません。オペレーターへお繋ぎします。」  3度入力したが、該当しないということでオペレーターへ転送された。オペレーターにナンバーを伝えても、やはり該当しない。名前と電話番号で検索してもらうことになった。  『本日、ヤマモト運輸◯◯配送センターに不審者が侵入。』  軽快な保留音が流れるのをジッと聴いていたら、突然インターホンが鳴った。  スマホ片手に、インターホンの室内子機を取る。当然、モニター付きではない。  「アカベコヤマモトの宅配便でーす。」   すぐ出ますと伝え、子機を戻す。その時、スマホから聴こえるイッツア相撲ルワールドのオルゴールが途切れた。  「佐藤様、お待たせいたしました。お荷物ですが、配達は明日の…」  「あ、今届いたので大丈夫です。」  私はオペレーターの言葉を遮って答え、スマホをテーブルに滑らせるように投げ出す。スマホは、テーブルを対角まで滑って止まった。  「もう、で御座いますか?」  通話が切れていなかったようだが、配達員を待たせるのも悪いのでそのまま玄関へ向かった。  『配送の荷物や金品、個人情報などの被害は無く、配達員の制服のみが盗まれた模様。』  「お待たせしました。」  そう言いながら、ドアの鍵を指でつまみ、力を込める。  その瞬間、何か分からないが不安な気持ちが頭をよぎった。しかし、既に指は鍵を回していた。  『警察は、防犯カメラの映像から、先日起きた食うバースイーツなりすました事件の同一犯と断定。』  ガチャリ  鍵シリンダーが回る音が不気味に響く。  「佐藤様、佐藤様、配達員の服装をした不審者が…」  ギィィィ  立て付けの悪い、重いドアが不気味な音を立て、開く。
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