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背中に掛けられた原田さんの軽口に適当に返して後ろ手にひらひらと手をふる。
「さて、どこでしょうか。女人の癖に隊内に忍び込んだ不届きものは」
それは気配、というほど確かなものではなくあくまでふわりと感じる違和感なのだ。
でも、たぶん居る。
僕は原田さんとは違って女人というものは弱くて気持ち悪くて正直あまり好きじゃない。
だからこそ、違和感を感じる。
だからこそ、匂うと思う。
真面目なのか不真面目なのかわからない様子で各々で剣の素振りや打ち込み稽古をしている新入隊士達の間をぬって、僕はひたりひたりと気配を探った。
「あ、沖田隊長お疲れ様です!」
「おおおお疲れ様です!」
「おいお前ら稽古やめて道開けろ!」
「いい、僕には構わないでください、続けて」
諸肌脱ぎをしている汗臭いのはとりあえず違うだろう。変装の可能性も捨てきれないが髭の生えてる奴や、一目見て明らかに分かるくらいに筋骨隆々のむさ苦しいのも恐らく違うとみていいだろう。
だと、すると。
「ねぇ、そこの新入り、名は」
僕の言葉に比較的他の人達より真面目に打ち込み稽古をしていたらしい新入り二人の動きがぴたりと止まった。
「え、俺、ですか?えーっと先週の隊員募集で新しくお世話になることになった山崎丞言います。こっちは同じく田中伊織です、沖田隊長」
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