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戦線が教会のあった場所に移っている隙に、数日前まで戦場だった場所まで出向いてモノを漁りに行く。
そこかしこに銃痕のあるレンガ造りの廃屋内を物色していると、生々しい悪臭を放つ死体を発見した。
厚手の服に防弾ヘルメット。肩にAK-47の模倣銃を掛けている。胸ポケットには遺書と家族写真。ズボンのポケットには睡眠薬の入った小瓶。それと携帯食料を少々。
「いただくぜ? 次は間違っても兵士になるために生まれてくるなよ」
ハサンは死体から盗ったヘルメットを頭に装着しながら、AK-47の模倣銃を手にその場を離れた。
無難に生き抜くのなら、防弾ヘルメットとAK-47の模倣銃は置いておくべきだった。
知り合いに売ればお金に換えられるが、ヘタに持って外を出歩くとそれだけで狙撃される危険がある。得られるお金に対してリスクが高すぎる。
それでもセレナのあの純粋な瞳を見てしまうと、すこしでも多く稼いですこしでも安心した暮らしをさせてやりたいと、ハサンは思わずにはいられなかった。
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