【 第三幕 】

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「店に入ってきた時点で。キミが〈感じる〉のか、それとも〈感じない〉のか。まず、確かめさせてもらった」 「あのやり取り、意味あったんですね」 「失礼だな……?」 「すみません」 なんとなく違和感を感じるだけの人間も居れば、強い違和感を感じていても視えない人間も居る。 個人の度合いによって、同じ〈感じる〉の部類に入る人間でも。違和感を感じる力が強いと弱いとでは、かなりの違いが出てくる。 だから、さっきも言ったように。三角ピラミッドで分けた構図で、たとえ同じ箇所に区分けされたとしても。その上と下では天と地ほどの差があるせいで、また違った話になってくる。 「という訳で、色々聞くまでもなく。キミが〈視える〉ことは、証明されている」 結果は上々。あれだけの反応をしておいて、〈視えない〉とは言わせない。 肩口から顔をのぞかせている、血だらけの死人へ向けようとした視線は、何処にいるか図りかねているものでは無かった。 目を合わさないように、あえて視線を止めた。ギリギリのところで首の動きを急停止した、彼の行動は正しい。
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