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「お前がその厄介な体質を打ち明けてくれた日から。何が起こっても驚かないと、俺は心に固く誓ったんだ」
一人頷いてキッパリ言い切った友人に、視える事実をきちんと伝えたのは、高校に上がる前。腐れ縁といえども、そんなものだ。
伝えるのが遅いと酷く怒られたのは別の話で、薄々察していた彼の反応は、受け入れる言葉ひとつだけの極めてシンプルなものだった。
「……いちいち驚いてたら、キリがないからな」
「……まあ、それもある」
微妙に濁した言い方をした春樹に怪訝な顔をすれば、気にするなとあっさり流される。大方、怪我さえしなければ、それでいいと思っているのだろう。
「……これだから、自殺は嫌なんだ」
沸々と湧き上がる怒りに、吐き捨てるように呟く。怖がる訳でも、怯える訳でも無く。生きていない相手であっても、容赦なく怒りの矛先を向ける俺は、とてつもなく肝が据わっている。
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