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「だれじゃ、こんなよふけに」
よふけにおこされたサチ。
しょうじのむこうから、ひくいこえで「ごめんくださいな」ときこえます。
サチはしょうじをあけました。
すると、そこにはおおきなからだのおにがたっていました。おおきなくちをあけて、いまにもサチをたべようとしています。
サチはおどろきましたが、あわてたり、にげたりしませんでした。かわりに
「なあ、おによ。おらのようなちいさなおなごをくっても、はらのたしにもならん。ここはひとつ、おらとしょうぶをせんか?」
といいました。
「しょうぶだと?」
おには、きじょうなふるまいのサチにおどろきました。
そして、すこしはらがたちました。
このおなご、おれをこわがってねえ。
ここはひとつ、このおなごとのしょうぶにかって、なかせてやろうとおもいました。
「おもしろい。そのしょうぶ、うけてやろう」
おには、おおきなおなかを、ぽん、とたたきました。
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