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北大路来夢との勉強会は、週に5回行っていた。
本当は毎日でも来夢の家に通いたかったが、どうしても週2日間は用事があると断られた。
それでもぼくにとっては夢のような時間で、勉強することがこんなに楽しいなんて初めて思ったかもしれなかった。
平日は学校が終わって15時30分。
バスに乗って、北大路の家に行くまで20分。
16時ぐらいに勉強をし始め、19時頃まで一緒に勉強。
休日は9時から17時まで、合間合間に休憩を挟みながらずっと勉強した。
来夢との勉強はとにかく楽しかった。
ぼくもかなり勉強したはずだが、やはり単純な知識はぼくよりも多い。
でもまったく話についていけないということもない。
来夢も友達がいないから、ぼくと話をするのが楽しいと言ってくれた。
気がつけば3ヶ月が経っていた。
…北大路来夢は、学校ではとにかく喋らない。
昔、大好きだった友達が病気で亡くなって以来、自分から友達を作らないようにしていたらしい。
だから持ち前の頭の良さもあり、学校で悪い噂を流される対象となっていたのだ。
もったいないな、と思った。
来夢は喋ってみると人懐っこいし、優しい。
はにかみ屋で笑顔は今見てもときめいてしまう。
けして美少女とは言えないけど、かわいらしい。
来夢にもっと周りと関わってみたらどうだ?と言ったことがある。すると来夢は「ううん、わたしは来人くんが来てくれるからいいの」と微笑んだ。
…ぼくは日を追うごとに北大路来夢を好きになっていった。
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