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魔王と勇者（まおうとゆうしゃ）
「ふはは、弱い、弱すぎるぞ！」
「く、くそう…」
勇者はたおれた。
弱い、あまりにも弱い。
弱すぎるゆえに、本当に勇者か怪しいぐらいだ。
「勇者を始まりの町に戻せ」
「はっ」
側近のガーゴイルに命じて、勇者を始まりの町の教会に送ってやる。
ちゃんと棺桶に入れて、サイフから半分、金をもらうのを忘れない。
「248ゴールドか…勇者のくせに金も持ってないのか」
我は呆れて溜息が出た。
20年前、我を倒しに来た勇者はとても強かった。
僧侶や魔法使いなどの仲間もいて、さすがの我も苦戦を強いられた。
だが、その勇者たちは歳を取り、年齢を理由に引退してしまった。
最近は勇者という名前ばかりの弱者たちが現れて、いい加減、我も退屈の虫を騒がせていた。
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