魔王と勇者(まおうとゆうしゃ)

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魔王様(まおうさま)勇者(ゆうしゃ)です」 あれから1ヶ(かげつ)側近(そっきん)のガーゴイルが()てそう()った。 「フン、()たか」 (われ)椅子(いす)から()()がり、台本(だいほん)()んでおく。 「勇者(ゆうしゃ)はあとどれぐらいで()る?」 「ただいま4(かい)(ちゅう)ボス、ミナセユキトーンをたおしたようです」 4(かい)か、ならばそろそろだな。 台本(だいほん)をしまい、のど(あめ)()めておく。 (ひく)い、いい(こえ)()ないと()められるからな。 「魔王(まおう)!」 「…ん?」 1ヶ月前(かげつまえ)(あらわ)れたあの(よわ)っちい勇者(ゆうしゃ)だ。 性懲(しょうこ)りも()(われ)をたおしにきたらしい。 フン、いいだろう。 ふたたび(われ)(ちから)()せてくれる! (われ)台本(だいほん)のセリフを再戦(さいせん)しにきた勇者用(ゆうしゃよう)()()えて勇者(ゆうしゃ)(たたか)った。 「ふはは、(よわ)い、(よわ)すぎるぞ」 「く、くそう…」 勇者(ゆうしゃ)はたおれた。 (まえ)よりはいくらかマシにはなったが、それでもまだ(よわ)い。 どうやらちゃんと訓練(くんれん)してきたようだ。この勇者(ゆうしゃ)はすこし(ちが)うらしい。 「おい、勇者(ゆうしゃ)(はじ)まりの(まち)(もど)してやれ」 「はっ!」 (われ)勇者(ゆうしゃ)(はじ)まりの(まち)教会(きょうかい)(おく)ってやるよう(めい)じた。 だが今回(こんかい)(かね)をそのままにしてやった。 半分(はんぶん)にすると勇者(ゆうしゃ)装備(そうび)()えなくなるからな。 そうなってはまたつまらぬ(たたか)いになってしまう。 ヤツはきっと(つぎ)()る。 そう(おも)えるほど、ヤツの()闘志(とうし)(あふ)れていた。
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