魔王と勇者(まおうとゆうしゃ)

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だが、その勇者(ゆうしゃ)(ちが)った。 けして年齢(ねんれい)()(わけ)にせず、何度(なんど)(たたか)いに()た。 1ヶ(かげつ)間隔(かんかく)(とき)もあれば、1(ねん)おきの(とき)もある。 そのたびにヤツの(うご)きはどんどん(おそ)くなっていき、(けん)(わざ)もさびついていった。 勇者(ゆうしゃ)、60(さい)ーーー 「魔王(まおう)!」 「また()たか…よかろう、相手(あいて)をしてやる」 「いくぞ!」 勇者(ゆうしゃ)はあきらかに(いき)()がっていた。 (われ)()むのは7(かい)(いま)勇者(ゆうしゃ)体力(たいりょく)では、ここに()るまでに消耗(しょうもう)しすぎてしまうのだ。 よろよろの(けん)をかわすと、(われ)(おも)いきり勇者(ゆうしゃ)()()ばした。 「うっ!」 勇者(ゆうしゃ)はたおれた。 こんな攻撃(こうげき)もかわせぬほど体力(たいりょく)()ちたというのか…。 一時(いっとき)(われ)をも(たお)()ると(おも)ったというのに…。 勇者(ゆうしゃ)(あわ)れんでやろうかと(おも)ったが、たおれた勇者(ゆうしゃ)()からは、いまだに闘志(とうし)()えていない。 ヤツの気迫(きはく)(おとろ)えていく身体(からだ)とは(べつ)に、(とし)(かさ)ねるごとに()していくのだ。 …ここで(われ)勇者(ゆうしゃ)(あわ)れんでは、ヤツの()(ざま)存在(そんざい)否定(ひてい)することになる。 (われ)はいつものセリフを()った。 「ふはは、(よわ)い、(よわ)すぎるぞ」 「く、くそう…」 勇者(ゆうしゃ)はたおれ、(われ)はガーゴイルに(めい)じて勇者(ゆうしゃ)隣町(となりまち)教会(きょうかい)(おく)ってやった。 そして魔王城(まおうじょう)もリフォームし、1階立(かいだ)てにし、(ちゅう)ボスのミナセユキトーンもクビにした。 これで(すこ)しは勇者(ゆうしゃ)(たび)(らく)になるだろう…。 (われ)棺桶(かんおけ)(はい)っている姿(すがた)(みょう)似合(にあ)勇者(ゆうしゃ)見送(みお)りながら、そう(おも)った。
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