魔王と勇者(まおうとゆうしゃ)

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勇者(ゆうしゃ)、73(さい)ーーー あれからヤツは何度(なんど)挑戦(ちょうせん)してきた。 だが()いることはない(われ)らの身体(からだ)とは対称的(たいしょうてき)にヤツの肉体(にくたい)(おとろ)えていく。 もはやヤツの(けん)はかすりすらしない。 あるのは、ただ、気迫(きはく)だけ。 「魔王(まおう)!」 「また()たか……」 「げほっ、げほっ…」 「………」 勇者(ゆうしゃ)(やまい)のようだった。 だがそれでも、(われ)をたおそうという意志(いし)だけは()えない。 「魔王様(まおうさま)…」 ガーゴイルは(くび)()った。 (われ)(うなず)いた。 「よかろう、相手(あいて)をしてやる」 「いくぞ!」 勇者(ゆうしゃ)はおぼつかない足取(あしど)りで短剣(たんけん)()り、(われ)攻撃(こうげき)した。 「ぐは…!やられた…見事(みごと)なり、勇者(ゆうしゃ)…よ」 「……!!」 勇者(ゆうしゃ)(われ)をたおし、短剣(たんけん)()とした。 「…やっと、やっと…魔王(まおう)をたおした…」 「勇者(ゆうしゃ)どのよ、あなたの()ちだ。世界(せかい)はあなたの(ちから)平和(へいわ)になったのだ。安心(あんしん)して(かえ)られよ」 ガーゴイルは勇者(ゆうしゃ)にそう()うと、勇者(ゆうしゃ)は 「すまない…ありがとう」 そう()ってその()でたおれ…そのまま(いき)()()った。 「魔王様(まおうさま)」 「うむ…勇者(ゆうしゃ)は、たおれたか」 「はい」 ガーゴイルには、(ひと)寿命(じゅみょう)()(ちから)がある。 勇者(ゆうしゃ)今日(きょう)()くなることがわかっていたのだ。 (われ)()()がり、たおれた勇者(ゆうしゃ)背負(せお)った。
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