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勇者36歳ーーー
俺はレベル67まで上がり、上級職のドラゴンスレイヤーをマスターし、ドラゴンをたおした。
そしてドラゴンをたおした金で、大陸で最強の装備を整え、魔王の城に乗り込んだ。
もう、魔王軍の手下でさえ相手にならない。
それだけ体力も、魔力も今までの中で最高に仕上げたつもりだ。
…今回でたぶん、最後だから。
「ギャオオオオッ!!……ツッ…!?」
魔王直属のドラゴンナイトだ。
さすがに実力の違いがわかるらしい。
俺の纏う闘気を見るとガタガタと震え真っ青になり子犬のような鳴き声をあげながら逃げていった。
4階にたどり着く。
ミナセユキトーンが待ち構えていた。
「お前…ハロルド…か…!?」
「久しぶりだな。ミナセユキトーン」
あまりに体つきが変化してしまっているから、あれだけ親しかったミナセユキトーンも気付くのが遅かった。
「魔王をたおしにきた。通してくれ」
「…そうか。本気なんだな」
「ああ」
「ならば俺もここは通せん!!魔王様の障害になる者は、何人たりとも通さん!!」
ミナセユキトーンが構える。
初めて、俺をたおすべき敵として扱ってくれた。
ありがとう、ミナセユキトーン…。
「ぐはあ…っ」
「…済まないな。俺はもう、お前では止められないんだ」
「強くなったな。ハロルド…しかもギリギリで命を奪わないぐらいにHPを調整してくれるなんて…」
「通るぞ」
「ああ…頑張ってな」
ミナセユキトーンが次の階に行くための扉を開けてくれた。
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