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7階。
俺は魔王の部屋に入り、初めて自分の意思で叫んだ。
「魔王!!」
「ふはは、よく来たな、勇者よ!さあ、存分に戦おうぞ!」
「いくぞ!」
それは今までの中で最も熾烈な戦いだった。
魔王も剣を使い、魔法も強力なものを使ってきた。
…今までは本気ではなかったのだ。
俺も善戦したが、あと一歩のところで及ばなかった。
「ふはは、弱い、弱すぎるぞ!」
「く、くそう…」
負けた…。
終わった…。
俺は悔しくて泣いた。
これ以上無いぐらい鍛え上げ、自分の持てる力の全てを出し尽くし、それでもなお魔王の力には及ばなかった。
それが悔しくて、俺は泣いた。
…魔王はたおれた俺に「…よくがんばってここまで鍛えてきたな。久しぶりに本気を出した。次回の戦いを楽しみにしている」と言って、頭を撫で…棺桶に俺の体を納めた。
…それはきっとセリフではない、魔王の本心だったと思う。
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