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そして、私は再び魔王に敗れた。
「ふはは、弱い、弱すぎるぞ!」
「く、くそう…」
身体が、動かない。
以前よりも…明らかに体力が落ちている。
10年のブランクがあったとしても、ここまで明確に動きの鈍さと大剣の重さを感じるとは、な…。
魔王はいつものセリフだったが、不思議そうな表情であった。
…そうかもしれぬ。
修行を積んで更に強くなってきていると…魔王は思っていたのだ。
落胆したようにも見えた。
…だが、ここで剣を置くわけにはいかない。
私の命の火が消えるまでは…。
それから、何度も魔王に挑戦した。
だがその度に…体力は落ち、剣の技もさびついていった…。
もはや大剣も、鎧すらも着れぬ。
剣は短いものに変え、鎧よりも防御力が劣る、聖霊の加護を与えられたローブを着た。
私の挑戦は続いた…。
そして…わしは60歳になった…。
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