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カンキチは、きぶんがいいようです。
さすがにおだいぶつさまよりつええやつはいねえ。
おだいぶつさまにかてば、おでがにほんいちじゃ。
そうかんがえながら、やまみちをあるいていると、とうとうおだいぶつさまのいるじんじゃにたどりつきました。
じんじゃのもんをくぐると、
「おだいぶつさま、しょうぶじゃ」と
カンキチはいいました。
「よかろう」
はなにみずをあげていたおだいぶつさまは、うでをまくりました。
「うげえっ」
うでずもうは、いっしゅんでおわりました。
おだいぶつさまは、カンキチよりもちいさなからだなのに、ちからはカンキチよりもつよかったのです。
こんなにつよいひとがおるなんて…
カンキチはくやしくて、おんおんとなきました。
そのカンキチのちいさくなったせなかを、おだいぶつさまがそっとやさしくなでてあげました。
「ちからもちのカンキチよ。そなたはなるほどつよい。だが、うえにはうえがおるものじゃ」
おだいぶつさまはいいました。
「おだいぶつさまより、つええひとがおるのがや?」カンキチはおどろきました。
「そうじゃ、わたしよりもつよいものもいる。それはかみさまじゃ。かみさまには、わたしもかてぬ」
「ひええ、おっがねえ」
カンキチはおそろしくなりました。
「だが、カンキチよ。かみさまには、あえぬ。てんからわたしたちを、みまもってくれているからじゃ。うでくらべをするひまもなかろう。しんにつよきものとは、よわきものをたすけることができるものなのだ」
「そっが…かみさまは、すげえなあ」
カンキチはかんどうしました。
そしてカンキチは、むらにもどりました。
こころをいれかえ、むらのひとたちのために、だいくをはじめました。
むらびとたちは、おおいによろこび、カンキチにかんしゃしました。
おお、ありがとう、カンキチ。
そなたは、ほんとうに、つよきおとこじゃ。
カンキチは、いつまでも、そのむらで、みんなをたすけましたとさ。
おしまい
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