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手紙
カーテンの隙間から漏れる明かりのせいで、目が覚めてしまった。
隣の温もりを求めるように伸ばした手は空を切った。
空っぽになったベッドを見て、ため息を吐いた。
身体を起こして、枕元に置いてあった眼鏡をかける。
「……」
枕の上に、2つ折りにされた紙が置かれている。
『To you
あなたより、もっと愛おしいと想える人と出会ってしまいました。
ずっと、ずっと言えなくてごめんなさい。
今まで、ありがとう。
元気で
From Yuki』
その手紙を読んでも、僕の心は乱れなかった。
そっとその手紙を閉じ、ベッドから出た。
ゴミ箱に入れるか迷った挙句、冷たくなったベッドの上に、名前の滲んだ跡が残る手紙を置いた。
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