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翌朝王が目を覚ますと、宮廷内は騒がしい空気に包まれていた。庭を見て目を疑った。百万貫の黄金が山と積まれ、そのうえに途方にくれたように千人の女たちがたたずんでいる。
どこからともなく仙人が現れ、王に言った。
「黄金と処女、加えまして近隣の郷村の地神がこの庭に集まっております。地神は皆私の言うことを聞きます。天下からこれらすべてを集め来ったのは地神たちです。陛下の目には見えますまいが、今は地神たちは陛下のお言葉を待っております。ですから一言お命じなさい。金剛鎖を為せと」
王はその通りにした。
見る間に女たちの首が飛び血しぶきがほとばしった。ころころと生首が落ちてくる。黒髪が黄金の山を血とともに流れ落ち、黄金の山はぐつぐつと煮え立ちはじめた。目に見えぬ工匠の槌音があちこちで響き、見る間に空中に黄金の鎖が編み上げられていく。目に見えぬ手桶が女たちの血を掬ってはかけ、灼熱した鎖は見る間に冷え固まっていく。
わずか一刻の間に金剛鎖はできあがった。その長さ六千丈と礎書昭王伝には記されている。
鎖の太さは一分ほど、蛇がとぐろを巻くように庭の中に巻き置かれているが、風がふくたびにしゃらしゃらと鳴り、たえまなく揺れ動いている。
仙人が指笛をひとたび吹くと、その一端がふわりと浮き上がり、見えぬ翼に運ばれるように、仙人の手元に飛び来った。
仙人が指笛をふたたび吹くと、南方より金色のカラスが飛び来った。仙人は金剛鎖をその足に結びつけ、太陽に向けて放った。
カラスが太陽に追いついたのは、三日後の夕刻であった。
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