憂虞

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『それは、突然のことだった。知らないアドレスから、一枚の写真が送信されてきた。二、三ヶ月前の事だったと思う。 あなたが、私の知らないある女の人と腕を組んで歩いている様子が写されていた。 初めは、まさかと思った。あなたがそんなことするはずはないってわかっていたから。ただのイタズラだと気にも止めてなかった。 それから一週間後、再び写真が送信されてきた。この前とは違う、別の知らない女の人。 写真が送られてきた日、あなたは決まって「先に休む」と言って部屋に籠ってしまう。 今思えば、その頃から私の中であなたに対する不信感が芽生えてきてしまったんだと思うわ。 だって、あなたはいつも私を見ようとしないもの。怪しい、写真は事実なの? そんな思いが頭の中でループしている。 こんなことは嘘、絶対に違う。あなたと過ごす日々がとても大切な日だもの。そう自分に言い聞かせて目を伏せてきた。 だけど、こんなことが続いていけば、どうしても疑ってしまう。私が弱いからなの? どこの誰かもわからないこの送信元不明の内容を、信じている私がおかしいの? お願い、誰か教えて……』 『 あなたは、本当は何が真実なの?』 僕は、一体何のことを言っているのか本当にわからなかった。もう一度言うが、彼女に隠し事などしたことはない。 ましてや、浮気などという類いのものには、一切関わるような風貌もなく、そのような癖も持ち合わせていない。 彼女の勘違いなのではないか。そもそも、事実無根の出来事に、些か戸惑いを隠せないほど、僕は困窮した。
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