8 それは極上の

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ゆっくりと振り返った私の目の前に はらりとした白いものが舞い落ちた。 思わず手を伸ばして、 その羽根のようなものを掌で受ける。 「雪」 じっと見ていたら、その掌に大きな掌が重なった。 「雪だね」 見上げたら、涙君が目の前にいた。 ずっと会いたかった、 年下のとても綺麗な心を持つ男の子。 こんなにも近くで触れ合っているなんて、 これは夢…? 「シャンパンとケーキ、 あとプレゼントもたくさん用意して来ました」 「え…?」 涙君は家の玄関の方を振り返る。 見ると、クリスマスリースを飾り付けた玄関ドアのポーチの前に大きなトランクが二つ置かれてあった。 「中に入ろ?」 そう言って指を絡め、恋人繋ぎをする涙君。 胸が高鳴る。 この温もりと高鳴りは夢じゃない。 二度と離したくないって思ってぎゅっと握り返す。 涙君は嬉しそうに目を細めた。 もう極上の嘘なんてつくものか、と思った。 「大好きだよ、涙君」
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