8人が本棚に入れています
本棚に追加
二
試合当日。昨夜は中々眠れなかった様子の縁を、ツナグは心配していました。ホテル前で待ちながら、結は自身の右手の指先をじっと見ています。彼女の人差し指には、ばんそうこうが貼られていました。そしてその右手を胸に当て、深呼吸。
「結も緊張してる?」
「大丈夫、です。久々にお裁縫をしたら針で指を突っついちゃいましたが、大丈夫、うん」
再び深呼吸。ツナグは何も返さずにホテルの中に視線を戻すと、縁が出てきました。
「縁、お腹痛いの?」
「ごめん! 試合前はトイレ行かんと落ち着かんくて。行こ!」
試合会場は、主に三つのエリアに分けられています。観客席、試合会場である大型ミシン"カミシン"。そして、大きな椅子。ここには今大会で制作物を依頼した管理神が座っていました。その全長、約300メートル。建築物でいうとビルほどの大きさです。
「ゼード様ー! こっち向いてー!」
観客に名を呼ばれた管理神は、口角を少しだけあげて、手を振ります。目元は隠れているので表情までは読めません。
管理神。地球の営みや自然などを管理するものを、人々はそう呼びます。この会場で依頼したのは"管理神の管理神 ゼード"というややこしい名称を持つもの。管理神を家族にたとえると彼は大黒柱のような存在です。
縁たち参加選手たちは、彼に頼まれたものを作る、もしくは直すために試合をします。
「会場の皆さん、テレビやPC・スマホ前の皆さん、こんにちはー!! 縫戦祭実況担当の生田真名斗です! 上司には陰でまな板って呼ばれます。解説は世界ランキング十五位の金本剛石さんです!!」
「はい、よろしくお願いします。あと、十五位は竹矢山吹くんですね。僕は十位です」
「あっ、すみません! 先ほどの順位は誤りでした!!」
観客席に設置されている大型スクリーンには、スポンサーのCMなどを交えつつ、実況席の生田と剛石の会話が映し出されていました。今から何かが始まる模様です。
「それでは、裁縫技は知らないけどチケット買えたからとりあえず来ちゃった会場の皆様、TVとWebで見ている十歳以下のお友達、学校の社会の時間で習ったけど忘れちゃったというお友達や大人たちのために、縫戦祭について説明するぞ〜!」
生田は画面端からフリップボードを受け取ると、それを机の上に置きました。
「元々は裁縫の儀という儀式でした! それが祭りになって、そして武道やスポーツの大会になりました。それが縫戦祭です! 今では全世界を舞台に行われるため、十年に一度の祭典として催されています」
生田が何枚かフリップのシールをめくると、年表や管理神らしき絵が描かれたイラストが出てきました。
「裁縫技は裁縫と武術を掛け合わせた競技。この祭典は、地球を再生してくれた管理神様たちに、いつもありがとうございます、そしてこれからもよろしくお願いしますという、感謝と挨拶を込めた伝統的な祭典です」
「管理神たちは寒さに弱いから、防寒が必須なんです! 皆さんが試合をすれば、カミシンに力が溜まって動き出しますので! 頼みますよー!」
剛石がゆっくりと説明し、生田はまるで管理神たちを代表するかのように頭を下げました。
「そういえば、裁縫技と競技用カミシンの生みの親である糸賀先生は今回も参加されてないんですか?」
「そうみたいですねえ。まあ、糸賀先生はちょっと変わっていますが、裁縫技への想いは人一倍なので……今頃TVの前でご覧になっていると思いますよ」
今回の大会、フランス・ゼード大会には、二十チームのエントリーがありました。試合はトーナメント方式で三vs三の二点先取。優勝が三ポイント、準優勝が二ポイント、三位と四位は一ポイントもらえます。先に六ポイント取ったチームが、日本で行われる本戦に出場することが出来ます。
そして、縁たちの一回戦の相手は……。
何試合か終わり、道着に着替え終わった縁たちは備え付けの階段を昇り、試合会場であるカミシンへと上がっていきます。縁は会場入りする前、自身の小指をじっと見つめていました。昨日、詩子と別れる前に約束したのです。
「お互い、次の試合勝とうね」と。指切りをした小指をたたんで拳を作ると、後ろを向いてツナグと結に向けます。
「気合入ってるね」
ツナグが同じく拳を当て、結は無言でしたが拳を当てます。
会場であるカミシンは足踏み式をモデルとした黒いミシン。クラシカルなデザインに、スポンサーなどのロゴが貼られています。縁たちは会場に礼をしてから上がると、対戦相手のUn seul Roseの選手たちと対面します。
真っ白な道着に身を包んだエメ、同じく白の道着を着た選手が二人。一人は可愛らしい巻き髪をした少年、もう一人は台風にあったかのようなヘアスタイルの女性でした。女性は恥ずかしいのか、顔を両手で隠しています。もともとそういう髪型ではないようです。
「カリーナ、顔をあげて!」
エメが明るく語りかけますが、カリーナと呼ばれた女性は「恥ずかしいです……」と呟いて両手を退かそうとしません。
「試合前に犬に吠えられて逃げていたら木に激突して鳥に襲われるなんて……」
「犬も鳥もキミのことを愛してるんだね。嫉妬しちゃうな! 大丈夫、鳥の巣みたいに斬新で可愛いよ!」
エメのフォローになっていない追撃に、カリーナはますますショックを受けていました。エメはそのまま、ゼードを見上げます。
「ゼード様!! 義母が仕立てたそのスーツ、息子のぼくたちがリメイクしてあげましょう!!」
『楽しみにしているぞ。人類よ』
ゼードは口髭を指でつまみながら、会場にいる全員に伝達します。管理神の声はテレパシーという形で人々の脳内に伝わります。
ゼードはそのまま、カリーナに顔を向け、そして次に縁を見ます。カリーナには自分の子供を見るように口角が上がっていましたが、縁の時には口がへの字になっていました。何かに気付いた縁が振り向いた時には、顔の向きを会場に戻していました。
「さぁーて!! フランス・ゼード大会、予選第六試合!! ゴッドタイフーン vs Un seul Roseの対決だー!!」
ゴッドタイフーン。それが縁たちのチーム名。六人の選手が整列し、対峙する中央から一人の少年が現れました。トリコロールカラーのトップスに身を包んだ少年が現れます。彼はこのカミシンに宿る付喪神であり、今大会の審判でもあります。
「お互い、気をつけ!」
審判の機械のような無機質な声が響きます。六人は背筋を伸ばし姿勢を正すと、管理神、観客席の順に礼をします。一通り礼をすますと、再び向かい合います。
「お互い、礼!」
「お願いします!!」
選手同士の礼が終わると、二人の選手が後ろに下がり、先鋒戦に出る選手のみ残りました。
「先鋒戦はゴッドタイフーンから針本結選手。Un seul Roseからはジャック・コレット選手!! 二チームとも初出場で無名の選手ばかり!」
「様々な選手が出場出来るのが、縫戦祭の良いところですよ」
対戦相手のジャックに、結が対峙します。白の道着と紺の袴の結は、ウォーミングアップがてらなのかその場で数回ほどジャンプします。それが終わると、糸を通して針を大きくします。彼女の針は、縁がはじめ持っていた学校指定の針と同じもののようでした。二人は準備を終え、近付いてジャンケン。勝った結が先攻です。
「準備はいいですか? それでは、気をつけ!」
「お願いします」
二人とも静かな礼と声色で、挨拶と同時に動き出します。結の軽い一撃。それを受けたジャックの表情は少しだけ苦しそうでした。次は大きく振りかぶり一撃。
「おーっとジャック選手! 受けるので精一杯のようです!!」
「針本選手の攻撃は重く硬いようですね。それでいて早い。正確さに難がありますが」
「こりゃあ攻撃工程を受けたら、ひとたまりもない!」
ジャックは下がって間を取ります。すると、彼の周囲が光を放ちます。
「第一工程、ノワール!」
その言葉と同時に、ジャックの姿が真っ白な道着から、夜をイメージしたゴシックロリータの服に変わります。その様変わりに、会場中が盛り上がります。
「出たー! 裁縫技の醍醐味の一つ、衣装チェンジ!! 剛石さん、解説を!」
「はい。裁縫技の試合では、攻撃工程、防御工程といった技が出せます。ですが、服飾を専門とする選手は第一、第二といった技に変更することが出来るのです。これらは派手な技は出せませんが、自身が手掛けた服を試合中に着て、身体能力を大幅に高めて戦うことが可能です」
「なるほど! では、何故ジャック選手はこんな早い段階で技を?」
「針本選手の攻撃工程に備えるためでしょうね。それに彼女の攻撃力は高いので、受けている選手はゲージも溜まりやすい」
剛石の解説通り、結の針が光りだし、ジャックは構えます。
「攻撃工程! ウッドアックス!!」
まるで木を切る斧のように、重い真空刃が放たれ、ジャックは前に動き、反動で弾こうとしました。ですが、それは叶いませんでした。そのまま針と共に吹き飛ばされ、競技用に張られたバリアに激突。一瞬ヒビが入りましたが、無傷のジャックが離れると、ヒビは跡形もなく消えてゆきました。
「そこまで! 勝者、針本結!!」
仮縫いゲージが到達しているのを確認した審判が結の勝利を告げると、二人は元の場所に戻り、試合前と同じ礼と挨拶をしました。針をしまって握手をしながら、結が話しかけます。
「そのスカート、グラデーションになってて素敵だね」
負けても変わらなかったジャックのポーカーフェイスが少しだけ柔らかくなります。
「ありがとう。兄が探してきてくれてね」
「この星は?」
「それも兄が手伝ってくれたよ。おかげで徹夜せずにすんだ」
「いいお兄さんだね」
「ああ。兄としては自慢だが、キャプテンとしては心配だな」
ジャックの視線の先には、エメの姿がありました。
「結ちゃんすごい!!」
結は「ありがとう」と短く返すと、縁からタオルを受け取り座ります。興奮冷めない縁を、結は少し笑いながら見つめます。
「次、縁の番だよ」
「頑張れ!」
結とツナグの言葉に、縁は大声で返事をします。そのまま会場に向かってゆきます。
「よし」
到着した縁は、自分の頬を両手で挟んで軽く叩きます。目の前には、スポットライトを浴びてポーズを決めるエメの姿がありました。
「やあ、縁。昨日ぶりだね。キミならぼくの誘いに乗ってくれると信じていたよ!」
エメはポーズを取りながら続けます。
「キミのあの自信なさげな姿勢と名もなき最終工程! 興味しかないね!」
痛いところを突かれたのか、縁は返事に詰まってしまいました。エメは慌てて謝ります。
「すまない、脅したつもりではないんだ! むしろ、そんなキミを開花させたいと思って、ね」
そう言ってエメが出したのはミシン針。その太さから十四号ほどに見える、太く短い針身でした。二人は針に糸を通し、準備をします。
「お互い、準備は?」
「はい」「いつでもどうぞ」
縁とエメが順番に答え、背筋をピンと正します。
「気をつけ! 礼!」
「お願いします!!」
挨拶にしては重い一撃。それを受け、縁は少し間合いを取ります。先攻はエメです。縁は体制を立て直し、再び構えます。
「逃がさないよ!!」
攻撃を受け、縁はちらりと仮縫いゲージを見ました。先ほどの二つの攻撃を受け流せず、力負けしていたのです。
「縁ー! 耐えてー!」
結とツナグの応援と、会場の声援が響きます。
「ふむふむ。なるほど」
剛石が納得した様子でモニターを閉じ、生田はそれに食いつきます。
「どうしました? 面白い個人情報でもありました?」
「個人情報も何も。彼らの母親とは知り合いなので、彼らのことは自分の子供のように知っていますよ。だから彼が裁縫技を初めて間もないことも知っている」
生田は質問しようとしましたが、試合の流れが優先です。
「エメ選手、糸賀選手に食らい付いてゆく〜!」
「ただただまっすぐに。裁縫技の基本の攻撃ですね」
ゆっくりと解説する剛石でしたが、その次の一言は少し冷静でした。
「恐ろしいのは、彼の攻撃工程」
剛石の一言は的中しました。エメの針が光を放ち、その魔の言葉を唱えます。
「攻撃工程、永遠の花畑!」
工程名を叫んだ時には何も起こりませんでした。針からビームが出るわけでも花が出るわけでもありません。縁は止まると、あるものにぶつかりました。
「扉?」
縁は視界を足元に、右斜め下に向けました。そこにはフランスの家で見たデザインの扉。それが小さくなったもの。縁が針をそれに向けたのと、扉からビームが出てきたのは保々同時でした。なんとかビームを弾き出します。
「うんうん。やっぱり反応がいいね!」
攻撃工程を再び放つと、今度は真正面。
「防御工程、ブルーシールド!」
青の盾。縁は今度は余裕を持ってガードしました。
「あれ反則じゃないの?」
「反則じゃない」
ツナグの疑問に、結ははっきり言い切ります。それでも疑問は続きます。
「あれって避けちゃダメなの?」
「地面から生えて来ようが空から降って来ようが、針から出たら全部攻撃。攻撃は受けるか止める。それが裁縫技です。避けたら反則を取られちゃう」
二回目の攻撃工程を終えると、エメの動きが止まり、手を挙げます。
「審判! 糸がなくなりそうだ。通してもいいかい?」
審判は頷くと、両手を挙げ、試合を一時的に停止させます。二人の選手は元の場所に戻り、エメは薔薇のモチーフがついたまち針を出して大きくさせると、その場に刺しました。その間に縁は息を整えますが、肩の力は抜けないようです。
エメは慣れた手つきで糸を出し、小さくした針に通そうとしましたが、通りませんでした。「おっとぼくとしたことが」なんてお茶目なことを呟きながら、
「分かっているんだろう、縁。ぼくのSPが」
と、独り言のように呟きます。
SP。試合でのパーソナリティー。選手本人の能力や特性。年齢や経験によって磨いてゆくことが出来る、選手の生命線。
「そして最終工程に名がないキミは、自分のSPをまだ分かっていない。自分が分かっていない」
糸切りバサミで糸を斜めに切っても、また失敗。
「その顔、図星かい?」
再び失敗すると、審判が鋭い目つきでエメを見つめます。
「エメ・コレット選手。それ以上は遅延行為とみなし失格となりますが」
「ああ、すまない! でも糸くらいゆっくり通させてくれ!」
先ほどの行為が嘘のようにするりと糸を通すと、エメは針を大きくして宣言しました。
「ぼくのSP、名は"天国と地獄"! 攻撃力が高い代わりに防御力が低い、極端なものさ!」
大胆な宣言とおまけのウインクに、会場中がざわつきます。チームメイトのジャックは呆れていましたし、カリーナは苦笑いをしていました。
「エメ選手、自分のSPを告白だー! まあ遅かれ早かれ分かることでしたし、別にいっか」
生田が叫ぶと、剛石が頷きます。
試合が再開されると、エメが攻撃し、縁が受けます。身長差があるため鍔迫り合いが出来ませんが、エメはなるべく近くで縁に話しかけます。
「こんなぼくでも成長の余地があるんだ! キミにはもっと無限大の可能性がある!」
「お、れは」
縁は離れず、そこからエメは攻撃工程を仕掛けます。
「これは受け切れるかな!? 攻撃工程、永遠の花畑!」
縁の頭上に扉が出現します。
「もう一回!」
エメがもう一度唱えると、今度は右に。ですが縁は動きませんでした。同時に攻撃が出てくる時、縁はずっと同じ格好のまま動きませんでした。裁縫技初心者のエメにはその行為が分からないと思いますが、選手の様子と奥義ゲージが同時に見れる外野には分かっているようです。縁の行為は、奥義への溜め行為。
「最終、工程!」
シエル戦の時のように、縁の針が光ります。上、次は右とその針はビームを弾き出します。弾き出されて向かってきたビームを、エメはなんとか受け流します。流れるような手付きに、エメは感心していたようです。
「確かにオレは自分のSPが分からん。ここに来る前からわかっちょらん! 自分の特技、自分が好きなこと……だから、今は!」
「攻撃工程!」
エメが攻撃工程を唱えるも、縁は軽くいなしていきます。光の勢いが増します。縁が針を振りかぶると、大きな光の玉が出てきました。カウンターはそのまま、フィールド内のバリアにあたります。そこには受け止めきれなかったエメの姿がありました。
「ごめん。ぼくの負けだ!」
チームメイトに舌を出しながら申告すると、カリーナの笑い声と、ジャックの眉間のシワが帰ってきました。
「そこまで!! 勝者、糸賀縁選手! よってこの試合、ゴッドタイフーンの勝利!」
審判が試合終了を告げます。
「気をつけ、礼!」
「ありがとうございました!!」
お互い、チーム同士で握手をします。エメと縁はがっちり握手をし、エメが試合内容について聞き出します。
「キミ、もしかして終盤を狙っていたね?」
「うん。エメさんを調べると、お仕事で作ったスーツしか出てこなかったから、裁縫技は初心者なのかなって。技術はあるけど運動神経はないだろうって」
「ご名答」
「あと、めちゃくちゃ良い針だったから。だけん、針側になったら一気に攻めてくる、って思ってました。そのSPでますます納得」
「あ〜そこまで見抜かれていたか〜!」
握手を解いてうなじに手を回すエメに、ジャックが肘で小突いてきます。
「初戦で全部見透かされてる。帰ったら対策練るぞ」
「エメさん、ジャックさん。お疲れ様でした」
「ありがとうカリーナ! キミのカラスのような声、とても心に染みるよ!」
「えっっ」
三人は会場を去ろうとしましたが、縁は悩んだように、そしてなんとか声を振り絞ります。
「エメさん!」
「ん?」
「ちょっと、ちょっとだけ」
縁が近づくと、エメは縁に近付きます。そのまま膝を折ると、縁は内緒の話のように小声で尋ねます。
「どうして、自分のことが大好きなの?」
縁の問いがツボに入ったエメは一通り笑い、驚いている縁に真剣な眼差しを向けます。
「逆にぼくが聞きたいくらいさ! なんでキミは自分が"嫌い"なんだい? 自分なのに? いや、質問を質問で返したらダメだね」
「だって、良いことづくめじゃないか! 心に余裕が出来るし」
「それにね。自分を大切にしないと、孤独になった時が一番つらいんだ」
最後に、声のトーンを落として言うと、エメは去っていきました。
その後、準決勝で一位のチームに負けた縁たちですが、四位ということで一ポイントを先取することが出来ました。
「初戦で一ポイントは上々だね、お疲れ様!」
「ツナグさん一回も出てないけどね」
試合が終わり、縁はタオルで顔を拭きながらロビーに設置されたテレビを見ます。そこには別会場の試合が映し出されていました。
「あ、シエルくん! 詩子ちゃんも!」
そこには、シエルが大人の選手を破って優勝したこと、詩子が勝利を収めていたことが中継されていました。詩子はまるで、縁に告げるようにカメラに向かってピースサイン。
『ジュニアランク一位の梅月シエル選手が率いる"スリーガンマトライアングル"! 見事に完勝! シエル選手にインタビューを……』
大人相手に淡々とインタビューに答えるシエルに、縁はタオルの端をぐっと握ります。
「オレも、頑張ろう。もっともっと、頑張ろう」
自分の士気を高めながら……それでも、弱気な一言を呟きました。
「オレの裁縫って、なんだろう」
縫戦祭二日目 フランス・ゼード大会
管理神:管理神の管理神ゼード
依頼:スーツのボタンの変更(リメイク)
予選第六試合
ゴッドタイフーン vs Un seul Rose
先鋒
○結vsジャック
中堅
○縁vsエメ
ゴッドタイフーンの勝利、四位入賞で一ポイント獲得!
最初のコメントを投稿しよう!