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あれからの俺とじっちゃん。1
「じっちゃん、ご飯もう少しかかるから、のんびりしててよ」
鬱蒼とした森の中で、食事の準備をしてる俺の傍で座って待ってるじっちゃんは、何が楽しいのか、先程から夕飯の支度をする俺をニコニコ見ている。
「わかった。それにしても、手慣れたものだな」
「ま、『冒険者』って仕事で野宿が多いし、野外飯作れないと、まっずい非常食を食べる羽目になるしね。非常食は本当に最悪な食べ物だからさ。まさに非情食だから!」
「そこまでだと、逆に確かめたくなるのだがな」
「いやいや!ダメだよ!じっちゃんには、美味しいものだけ食べてもらいたいもん!だから俺、狩りもご飯作りも頑張るからね!」
「ふっ…。なら楽しみにしておこうか」
「うん!」
じっちゃんと住んでる家は、広い森の真ん中に建っていた。
一番近くの村に行くまでには、この広い森を出なきゃいけないけど、今回は瞬間移動はなしの、馬や馬車を使用しない徒歩での旅と決めていた。なので、広大な森はもちろん一日では通り抜けなど出来なくて、日が暮れた早々で野宿の準備をする事になった。
火を起こしたりお湯を沸かしたりご飯を作ったりと、あれやこれと動く俺を面白そうに見てたじっちゃんは、時々質問したり頷いたりしていた。
いつもは、俺がじっちゃんに教えてもらうばっかりだったので、何気ない事でも自分に教えられる事があるのは凄く嬉しかった。
ようやく出来た夕飯のシチューもどきを、じっちゃんに装って渡す。じっちゃんは受け取ると、作っておいた匙で一口食べ、ドキドキしながら様子を窺う俺を見てニヤッと笑った。
「悪くはないな」
「そこは嘘でも美味しいって言ってよ!」
じっちゃんが軽やかに笑う。
魔王様に救われて元気になったじっちゃんは、目が覚めてからこうやってよく笑うようになった。
じっちゃんが笑うと俺も嬉しくなって笑ってしまう。
ただそれだけで、胸が一杯でたまらなく幸せになる。
夕食の後、今夜の寝床を用意し、焚き火用の枝を捜しに行く。手伝うと言ってくれたじっちゃんには荷物番をお願いした。
今回の旅は、俺のわがままみたいなもんだし、出来れば人間界で一応『冒険者』として頑張ってた俺を見せたい!という思いもあった。
(それにしても…まさか、じっちゃんと、旅が出来るなんて思わなかったなぁ)
などと、小枝を拾いながら、つい先日の会話を思い出していた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「すっかり元気になって良かったね、じっちゃん」
「お前には…心配をかけてしまったな、サクラ」
「ううん。俺は…そんな……ぐすっ」
眠り続けてたじっちゃんを思い出すと、どうしても涙が出てしまう。
あれは、俺の人生の中で(といっても、たいした年数ではないんだけど…)最大級に悲しい出来事だった。だから、なかなか落ち着く事が出来ないんだと思う。
グシグシと目元を拭っていると、居間のソファーで向かい合って座ってたじっちゃんが、俺の横に来て抱きしめてくれた。
温かいじっちゃんの胸に縋り付く。ドクドクとじっちゃんの心臓の音が聞こえてきて安堵する。
じっちゃんは生きている。そして、これからも生き続けるんだ…ずっと。
--その事実が、とても嬉しい。
せっかく拭いた涙もまた溢れてきた。嬉しいのに苦しい。苦しいけど嬉しい。そんな複雑な思いと優しい温かさに、どうしていいかわからなくて、じっちゃんに抱きついた。途端に強く抱きしめられて、その力強さに、また泣けてきてしまった。
「泣くな、サクラ。ワシはお前に泣かれると、どうしていいのか分からんのだ」
「…ごめっ…お、俺も…なんでか、分かんなくて…」
「お前にも分からぬと、ますますどうして良いのか分からんな…」
じっちゃんの声に少し焦りが混ざっていたので、慌ててじっちゃんの顔を見る。すると、眉間に皺を寄せて本当に困ったように俺を見ていた。
じっちゃんのそんな顔は初めてで、ビックリして涙なんか引っ込んでしまった。
「…じっちゃん。なんか、困ったみたいな顔してるよ?」
「…実際、困ってるのだがな…」
「…ぷっ。ぷふっ…」
「……何故、笑うのだ?」
か、可愛いっ!可愛すぎるよぉ~、じっちゃーんっ!!
前は、そんな風に思った事なかった。だけど、起きてからのじっちゃんは表情が豊かになった。俺はそれを、魔王様のたっぷりな魔力のせいだと思ってるんだけど、じっちゃん曰く『これからは我慢せず、思うままにサクラと生きる事にしたから』との事。
俺と一緒ってのはすごく嬉しいんだけど、我慢せずってのがよく分からないんだよね。我慢しないのと表情が豊かになるってのが、どう繋がるんだろ?分かんないんだけど、それもまた不思議で可笑しかった。
くすくす笑う俺を見て、じっちゃんも微笑んだ。優しい表情にドキドキしてしまう。
あぁ、こんなにもじっちゃんが好きな想いを、隠さなくてもいいなんて…。
こんな優しい日々が俺に来るなんて…。
「サクラ…ワシに何かして欲しい事はないか?」
「…え?」
「お前には長い間、色々と我慢させてしまったからな。何かワシに出来る事があれば、何でもするぞ?」
「俺…じっちゃんといられるだけで…、十分なんだけど…」
「そんなの、これからもずっとだろ?」
「っ!」
「そんな当たり前の事ではなく、他にワシとしたい事はないのか?」
じ、じっちゃーんっ!さらっと心臓が止まりそうな事言わないでよぉ~っ!!俺を喜びで殺す気なの?俺、死ぬの?
アタフタしてると、じっちゃんがそっと頬を撫ぜてキスをしてきた。でも、すぐ離れたしまったので、物足りなくて思わずじっちゃんを見てしまう。
「ふっ…。何でもいいぞ?」
じっちゃんが、俺の唇を指でなぞる。それだけで背中がぞくぞくした。これは拙い。かなり拙い。じっちゃんはまだ病み上がりみたいなもんだから!治まれ俺の俺っ!!
だけど、俺の心の葛藤など我関せずとばかりに、じっちゃんは触れるだけのキスをしてくる。角度を変えて、何度も。
(じっちゃんのばかーっ!せっかく俺が我慢してるのにーっ!!)
堪らなくなって、何度目かのキスの時、離されないようにじっちゃんの首に腕を巻きつけ、自分から噛みつくようなキスをする。そっと開いた口から逃がさないように舌を絡めようとしたら、逆に強く吸われた。
その激しさに翻弄される。相変わらずの甘い魔力が全身を包み込み、得も言われぬ快感で溶けてしまいそうだった。体が熱くなり自然と腰に溜まるのがわかる。
スッとじっちゃんが離れていき、飲みきれなかった唾液が流れた。すかさずじっちゃんの長い舌で舐めとられると、ぶるりと体が震えた。
「そんな目でワシを見るな。抑えが効かん」
わかってる。きっと俺は、はしたない程に、物欲しげにじっちゃんを見てるはずだ。
でも、どうしようもない。だって、じっちゃんが欲しくて堪らないんだから。
「……じっちゃん。好き…大好きです…」
「……っ」
じっちゃんが少しだけ目を見開くも、すぐに微笑んだ。
ーーそれはそれは、妖艶に。
それから一晩中、じっちゃんに泣かされ続け、昼近くに目が覚めても起き上がれなかった。
目を開けたら、じっちゃんが隣で本を読んでいた。俺が目覚めたのに気付いて優しく髪を梳(す)いてくる。
その大きな手は、どこまでも気持ちが良くて優しい。
再び瞼が下がる。次に目が覚めても、じっちゃんが居てくれるのがわかっているから安心して眠りにつける。
再び目が覚めたら、夜になっていた。
じっちゃんは、やっぱり俺の隣にいた。俺が目覚めたのに気付き、小さく笑って俺の頬を優しく撫ぜ、また書き物に戻る。
見慣れた横顔。俺が作られた時から知ってる顔。前まではじっくり見るのも苦労したけど、今は堂々と見ていられる。
あまりにも見過ぎていたのか、視線を感じたじっちゃんが目だけで問うてきた。
「…じっちゃん、ずっとベッドにいたの?」
「いや、食事はしたし、お前の体を拭いたりもしていた」
「っ!…全然、気が付かなかった…」
「ワシが、無理させたからな。抑えが効かずに魔力を流しすぎた」
「ふふ。ごちそうさまでした」
俺が笑うと、じっちゃんも微笑んだ。
じっちゃんにたっぷり魔力を貰ったから、魔力で生きてる俺は、しばらくお腹は空かないはずだ。
とはいえ、ずっと裸でベッドに居るっていうのもどうなのか…。幸せ過ぎて溶けちゃうんじゃないのかな?
人間界に居た時は、朝早くからギルドの依頼であちこち行ってたなぁ…なんて思いつつ。
「そういえば、じっちゃんと出掛けた事ないなぁ」
「確かに。言われてみればそうだな」
俺の小さな呟きをしっかり拾って、じっちゃんが書き物を止めて俺を見下ろした。
「昔、コウに聞いたんだが、コウのいた世界では、『番』になった者達は、そのお祝いに旅に出るらしいぞ?」
「え?(つ、番って…)」
「国によっては、馬車に色んな物をぶら下げてガチャガチャ五月蝿くしたり、大きな船や空を飛ぶ乗り物で、色んな国を旅するそうだ」
「な、なにそれ?楽しそうっ!」
たまらず起き上がる。
「魔王様のいた所って、スッゴく楽しそう!なのに、なんで魔国に来たのかな?」
「………」
「旅かぁ。いいなぁ~」
「じゃあ、するか?」
「ん?なにを?」
「旅だ、旅。サクラのしたい事なら付き合うぞ?」
「えぇーーっ!?」
そして、じっちゃんは俺から旅に必要な諸々を聞き出すと、翌日にはそれなりの荷物を担いで俺と家を出たのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
小枝を抱えて戻ると、じっちゃんが焚き火の前に座っていた。
巻き角は隠し、まっ白な髪は少しだけ灰色にして全体的に短くし、少しだけ長めの前髪は後ろになで付け止めてある。しなやかな筋肉がついた体格や褐色な肌はそのままに、海のように落ち着いた綺麗な青の瞳は、薄い茶色で隠していた。
そして、冒険者がよく着ている防寒用を兼ねたマントを身に着けてる姿は、どこをどう見ても、人間の冒険者然とした姿だった。
(じっちゃんって、『人間』になってもかっこいいんだなぁ)
俺がじっと見てるのに気付いて、振り返ったじっちゃんが怪訝そうな顔をした。
「何故、そんなに見ておる?この人間の姿は変か?」
「違う違うっ!じっちゃんは人間の姿でも、かっこいいんだなぁって思ってたんだよ!」
「………そ、そうか」
「うん!」
自分でもニヤけてる自覚のある顔で近付くと、なぜかじっちゃんはそっぽを向いてしまった。
「じっちゃん?どうしたの?」
「うむ…まぁ、なんだ。……そろそろ寝るか」
「あ!そうだね。俺が最初に見張りやるから、じっちゃんは先に寝てて」
「…一緒に寝れば良いだろう?」
「でも…。夜は魔物が出やすいし、火の番しないと寒いよ?俺は慣れてるから、じっちゃんは寝てていーよ」
「……よし。結界を張った。一緒に寝るぞ」
「え~!ズルしちゃったら、せっかく人間に『変化』した意味がなくなっ……っ!」
焚き火に小枝を足しなが抗議をしたら、腕を引っ張られて、じっちゃんが胡座をかいてる上に、背中を預けるように座らされてしまった。しかも、じっちゃんのマントにすっぽり入るように抱きしめられてしまい、身動きが取れなくなった。
「じ、じっちゃん!」
「こうしていれば温かいだろう?」
「そうだけど…。もう!過保護なんだからさぁ~、じっちゃんは」
「………」
不意に首筋に柔らかいものが押し付けられた。なんだろうと思っていたら、今度は噛まれた。
「ひゃ~っ!じ、じっちゃんっ」
強い力じゃなくて甘噛みだけど。かと思えば、また温かいものが押し付けられる。も、もしかして…。これ、キスされてる?
何度か繰り返されて、じわじわ変な気持ちになってくる。でも、気持ちいいからじっとする。…だけど、キスしたり甘噛みしたりが、だんだんと熱を帯び始めたように感じると、自分の息が荒くなっていくのがわかった。
「…んっ…はぁ…っ」
たまらず声が出る。それが合図のように、マントの中でじっちゃんの手が動きはじめた。
「…ぁっ!……っん……っ」
抱えていた膝をゆっくり開かせるように、じっちゃんが優しく触れてくる。…焦れったいほどに。
少しでも早く触れて欲しくて、慌てて足を開けば、じっちゃんが小さく笑って首筋を強く吸った。
「っあ!……んんっ!」
強く吸われた所から全身に痺れが走り、かぁっと体が熱くなっていく。やがて、熱は体全体から一点に集中していき、自身が固くなっていくのがわかった。
「ふっ。本当に素直だな、サクラは…」
じっちゃんが、固く立ち上がろうとするものに触れてくる。待ち望んだ行為に胸が高鳴った。だけど、じっちゃんは、触れるか触れないかの、弱い力でゆっくり撫ぜるだけで、ちゃんと触ってはくれない。
たまらず涙が溢れてく。
もっと強く触って欲しい…そんな気持ちでいっぱいになるのが恥ずかしい。こんな浅ましい俺を知られたくないのに、じっちゃんの手でもっと強く触れて欲しいと思う。
「じっちゃんっ……っ、お、お願い……もっ…と…」
「この触り方では、物足りないか?」
何度も頷く。物足りない。こんなんじゃ全然、物足りない!
ーーあぁ。なんで俺の体は、いつもこんなにも欲してるのか…。昨日だって、あんなにシてもらったのに。
俺を、こんな体に作ったじっちゃんを恨みつつも、ゾクゾクと背中に這い上がってくるものに身を任せる。来るだろう波を待っていたら、じっちゃんの手が直接ズボンの中に入ってきて、遠慮のないほどの力強さで、すでに固くなって立ち上がりきった俺のを直に握った。
「ひっ……っ!」
不意打ちの刺激に、一気に痺れが体中を駆け巡り、あまりの快感にあっという間に達してしまった。
「…っあ、はぁ…はぁ…っ……」
自分の荒い息だけが、暗い森に響いていた。じっちゃんが結界を張ってくれてるはずだけど、自分の恥ずかしい声を森中が聞いてる気がする。そんな考えに、楽になったはずの体がまた熱くなり、ますます息が荒くなって狼狽えた。
そんな俺の首筋を軽く吸って、
「…まだ、握っただけだぞ?」
と、じっちゃんが耳元で小さく笑った。それだけで、また中心に熱が貯まり始める。握ってる手から伝わったのか、力を取り戻し始めてる俺のものを、じっちゃんがゆるゆる扱きだした。
「…っん!…っ……やぁ…っ……んんっ、…」
じっちゃんの大きな手が、強く弱く絶え間なく刺激を与えてくる。
だから、すぐに耐えられなくなった。
「…っぅ…やだっ……出ちゃ……」
「…いいぞ。ほら」
すっかり固くなり痛いほどに反り返った俺のものを、一際強く扱いた。たまらず歯を食いしばりのけぞると、じっちゃんが宥めるようなキスをしてきた。力が入る俺の唇に何度も触れ、優しく開きながら歯をなぞる。力が抜け開いた口に、じっちゃんの長い舌がそろそろと入ってきて、俺の舌を捕らえると優しく絡みついた。
下の強い刺激と、上の甘い刺激。苦しいけど…死ぬほど気持ちいいっ!
一瞬の白さの後、全てをじっちゃんの手の中に放つ。その、得も言われぬ解放感。あまりの快感に目の裏がチカチカし、体はしばらく震えっぱなしだった。
俺が落ち着くまで待ってたじっちゃんが、その手に受け止めたものや、俺のドロドロの下半身を綺麗にしてくれてる間も、俺は指一本も動かせなくて、されるがままだった。
全てを終えて、また俺を抱えなおしたじっちゃんの温かさに自然と瞼が下りてくる。
頭を振ってなんとか耐えていると、じっちゃんが俺の耳を甘噛みしてきた。
「…んぁっ!…じっちゃ…ん。……ぁ」
「寝て良いぞ」
「……で、でも…」
「いいから…寝なさい」
耳元でじっちゃんが囁く。それは魔法のようで、瞼がもう上げられなくなってしまった。
じっちゃんの抱きしめる力が強くなり、その温かさと馴染んだ香りを感じながら、俺は意識をゆっくりと手放した。
翌朝、目が覚めるとじっちゃんが朝ご飯を作ってくれていた。全然、気が付かなかった!
結界を外したのか、それなりに騒がしい森の中で、じっちゃんと朝ご飯を食べ出発した。
それから二日かけて、森から一番近くの小さな村に着いた。でも、そこは素通りしてその先の町に急ぐ。別に目的もないし、急ぐ必要はないけれど、(一応、元王都のあった辺りに行く、という大ざっぱ目標はあるが…)村には『冒険者ギルド』がなかったので、次の町に行く事にしたのだ。
「何故、『ギルド』に用があるのだ?」
「俺の冒険者カード、そろそろ更新の時期なんだ」
「更新?」
「うん。二年に一度、依頼の達成率や生存確認も兼ねて調べるんだよ。で、その時に討伐数や依頼数がギルドの規定に達していれば、ランクが上がったり、昇格試験が受けれたりするんだよね」
「ふむ。だが、これから暫くは人間達を調べる必要はないぞ?なのに、更新する必要があるのか?」
「う~ん。そうなんだけど、ね。生まれてからずっと冒険者してたし。もしかしたら、またこうして、じっちゃんと出掛けたりするかもしれないでしょ?そうなると冒険者でいる方が、何かと便利なんだよね」
「便利?」
そんなわけで、町までの道中で、じっちゃんに冒険者のカードについて説明をする。
『冒険者ギルド』の試験に合格すると発行されるカードは、ギルドが認めた冒険者だと証明するためのものになる。
人や村や町を襲う魔物退治や討伐、護衛や用心棒、その他の日々の小さな手伝い。体を張った仕事の多い冒険者は、長く続けられる者がなかなかいない厳しい職種だ。だから、少しでも長く続けてもらうために、冒険者には色んな特典がつけられている。
例えばそれは…
・宿代の割引
・食事の割引
・武器や洋服の割引
・色んな施設での優遇。等々。
多岐にわたる。
それらは、『冒険者特典』として、カードを提示して受けられる。なので、冒険者の皆さんは、面倒だとは思いながらも、更新手続きをするのだ。
ちなみに、カードの更新期間を過ぎると、もちろんその特典は利用できない。さらに、更新日から五年以上過ぎても連絡が無いと(死亡が分かってる場合は別だけど…)、記録は抹消され冒険者ではなくなってしまう。
そんなわけで、カードの更新手続きには、冒険者達はお得や保護を求め、ギルドは冒険者の生存率や依頼の達成率を確認でき、今後の仕事を円滑に回せる。故に双方にとって望ましい状態になる!という美味しさがあるわけです。
そんな事をじっちゃんに説明しつつ、たまに一緒に狩りをして魔物の素材を採取しながらも、日が暮れた頃にようやく隣町の『ザルク』に着いたのだった。
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