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プロポーズ
三郷羽依は、重い足取りで帰路についている。
昨日、16歳の誕生日を迎えた羽依は帰るために教室を出たところで、3年生の先輩に呼び止められた。
思えば、それがすべての始まりだった。
「三郷羽依さん、僕と結婚してください」
吉川和――3年生、いや全校生徒で1番有名なその先輩は、いきなり羽依にプロポーズしてきたのだ。
「こ、困ります!」
突然のことにパニックを起こした羽依は、慌ててそれだけを答えた。
「……わかりました」
大人しく引き下がった和。
それを見てほっと胸を撫で下ろす。
自分が何故、告白――というよりプロポーズを受けたのかがわからない羽依は、からかわれたのだと判断した。
(きっと、罰ゲームかなにかだったんだ……)
告白されて嬉しいと言う気持ちよりも、驚きと困惑が勝っている。
クラスの女子の憧れの的である先輩が自分に告白してくる理由が思い当たらず、悪い冗談だと思い家に帰ることにした。
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