プロポーズ

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 俯いたまま無言の羽依。  そんな彼女を見ていた和は、そっと手を取る。 「……っ!」  驚いて顔を上げた羽依と和の目が合った。  真っ正面からの視線を受け止めきれず、また俯こうとする羽依の手を和は引き寄せる。  突然のことにバランスを崩した羽依は、和の腕の中にすっぽりと収まってしまった。  混乱と驚きで声にならない悲鳴を上げる羽依を和は愛しそうに見ている。 「あの、あの、先輩」 「和でいいよ、夫婦になるんだから」 「先ぱ」「和」 「和……さん」  名前で呼ぶように押しきられ、羽依は和の名前をよぶ。 「なに?」  優しく微笑まれ、言いたいことが言えなくなる。 「あの、はなして、ください」 「嫌だ……と言いたいけれど、困らせたくないからね」  くすくすと笑いながら、和は腕の中から羽依を解放した。  困らせたくないと言われ、もう既に困り果てている羽依は小さく震えるだけだ。 「あの、なんで、私なんですか」  それでも疑問に思っていることを聞かずにはいられない。  しかし、羽依の問いかけに対して和は首を傾げる。
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