第1章〜旅路の果て②

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第1章〜旅路の果て②

        ✴︎要の能力{済}       ※※※※※※※※※※※  ここは、ファストル城から北西に数キロはなれた森の中。  あれから2日がたち涼香と要は、野宿をしながら龍の里にむかって歩いていた。 「あ〜もうやだ〜!野宿なんて〜。グスン。みたこともないような、変な虫がいるし〜」 「涼香。そう言っても、この状況じゃ。野宿しか方法がないしなぁ」 「うん。それは分かってるんだけどね。はぁ……」  色々と話しながら歩いていると数匹のツノのはえた獣が、涼香と要の周りを囲み襲いかかろうとしていた。 「グルルル……」 「いつの間に獣が、俺たちを囲んでたんだ⁉︎」 「ちょ、ちょっと!これじゃ囲まれて逃げられない。どうしよう……」 「こ、このままじゃ。あの獣のエサになっちまう」  すると数匹の獣はキバをむきだし、涼香と要に襲いかかろうとしている。 「ガッオオオォォーォン‼︎」  すると獣たちは雄叫びをあげ、  一斉に2人にとびかかった。 「キャァーーイヤァーーーーー‼︎」 「クソォッ!このままじゃ。ん?あっ、そういえば」  要は自分の力のことを思いだした。 「よし!多分、大丈夫だと思う。城で少し試したし」  要は涼香をかばいながら、頭で炎をイメージし両手に力をそそいだ。  すると、要の両方の手のひらに炎があらわれた。 「あたれぇーーー‼︎」  そう言いながら要は数匹の獣めがけ、身体を軸にし円を描くように炎を放った。  その放たれた炎は数匹の獣にあたるが、威力がなかったため50メートルしか後退さることができなかった。  そして獣たちは擦りキズを負った程度だった。 「要。今のはなに?炎なの?」 「ああ。でも、まだこの力は完璧に使いこなせてない」  要は自分の手のひらをみながら、どう獣たちをたおしたらいいのかと考えている。  攻撃をうけた獣たちは怒りを露わにし、ジリジリと2人を射程圏にとらえようとしていた。 「クソッ⁉︎このままじゃ。涼香は力が使えないだろうし。どうしたらいいっていうんだよぉ」 「要……。このままじゃ。ヒクッ。うっ……」  涼香はブルブルと震えながら、要の背中によりそっている。 「涼香。クッ。やっぱ考えてるひまはねぇよな。できるか分からない。だけど、一か八かやってみるしかないか」  要は両手をひろげ炎をイメージする。 (もっと強そうな炎をイメージしないと。メラメラと燃え盛るような強い炎を……)  すると業火のごとき炎が、要のてのひらにあらわれる。  それを確認すると要は、どう攻撃するかイメージし獣たちに放った。  そして要のイメージどおり、無数の炎が螺旋(らせん)を描きながら数匹の獣にあたっていく。 「グガオォォーォン‼︎」  すると、数匹の獣は雄叫びをあげた。  数匹の獣のうちの3匹は、たおすことができた。だが、残りの獣たちは軽度のダメージを負っただけだった。  すると獣たちはさらに怒り狂い、要と涼香に襲いかかろうとしていた。 「やっぱ、こんなに数がいたんじゃ、いくらなんでも倒すのはムリだ。このままじゃ、この獣たちに喰いころされる。ど、どうしろっていうんだよーー⁉︎」 「………」 「涼香………。クソッ‼︎」  どうこの場を切りぬけたらいいのかと、要は自問自答をくり返している。  すると獣たちは大きな口をあけ、涼香と要めがけ一斉にとびかかった。
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