勿忘草

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 愚かなことに、あの時の私はそのまま話を続けてしまった。  「最近様子が変だが…何か悩みでもあるのか?」と私は問うた。  「悩みなんてものはないわ。ただ眠れないだけ。」そう彼女は 答えたが、その様子は少しおかしかった。  「じゃあ試験勉強で疲れているだけだろう。」と私は続けた。  それに対し、彼女はただ「そうかもね」と短く答えるだけだった。  そうして彼女は一歩屋上のフェンスに近寄った。  私はそれを景色を見ようとしているのだと思い、止めようとはしなかった。
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