第一話

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 緑の多い、整備された公園のベンチでぼんやり考え事をしたり、悩み事に頭を悩ませたりしていると、なぜだかいい打開策が思い浮かぶものだ。  ぼんやり歩いていたせいで、何度か車にクラクションを鳴らされたりもしつつ、公園にたどり着いた。  ベンチに腰掛け、空を見上げて雲を眺める。まだまだ肌寒い風が吹き付けてくるけれど、空気は澄んでいて太陽の日差しも温かい。桜のつぼみもポツポツと芽吹き始めている。  市内にあるめぼしい会社に面接に行ったけれどことごとく落ちた。今度はどんな会社の面接に行くべきか悩む。市外に本社がなくて出張もなくやめるまでずっと事務職でいられるような会社なんて、そうそうない。資格か何か持っていればよかったが、手に職付ける系の学校に進学しなかったのは大失敗だった。 「あーあ……」  空を仰いでも答えは見つからない。ちなみに彼氏もいないので結婚するという選択肢もない。  ぼんやりと雲を見ていると、黒い鳥が視界を横切った。 「鴉か……」  するとその黒い鳥が、岬に向かって舞い降りてくる。セキセイインコサイズの真っ黒な小鳥が綺麗な声で鳴きながら、岬の手が届くすぐ側のベンチの背に留まった。
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