大将の秘密

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「あの時すれ違った丸い男、あれが息子だ」 「……え?」 「最近、仕事の関係で昼飯の時間がズレたらしくてな。前より早く来る様になった」  和美は大将の間抜け顔に意気消沈すると、溜め息を吐いた。なんという事だ。息子は元気にお店に通っている。体格を見る限り、『食』も安心だ。 「それは良かったですね」 「あぁ。たまたま近くに転勤してよ。今じゃウチの常連だな」 しかしこの時、和美は思った。それじゃあ、何の為にこの時間にお店を開けて居るのか。それは、私の為? いや、それとも──。
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