PM3時の味噌ラーメン

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「いやさ、こんな小さなラーメン二つだけ作るのも大変だからさ。和美ちゃんが来てくれる様になって、助かってんだ。色んなメニュー注文してくれるだろ? それに併せて、一緒に作ってるってわけさ」  和美は必死で美味しそうな顔を作った。ニコニコしながら、夢中で麺を啜る。スープを飲むと、大袈裟に口元を緩ませた。 至福の表情って、どんなんだっけ? 必死に笑顔を取り繕うのに、黄昏色のスープに目から溢れた透明な滴が溶けていく──。 あれ? 今日の味噌ラーメンは、しょっぱい気がする。こんなに美味しいラーメン、涙が止まらない。大将、やっぱりこれは世界一の味噌ラーメンです……。 「旨いかい?」 「はい、世界一の味噌ラーメンです!」 大将に目をやると、ミニラーメンのスープにも、大将の目から溢れた滴が落ちて行く。  それを見つめる様に、写真の中の奥さんと子供は満面の笑みを浮かべていた。 「今日の味噌ラーメンは、しょっぱいわね」 「うん、でもやっぱり世界一の味噌ラーメンだ!」 それはまるで、そんな家族の大切な時間の会話が聞こえて来る様だった。
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