黄昏色のスープ

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 和美は頬が熱くなるのを感じた。出来る御馳走は、食べると自然と笑顔になる。 「あまりに美味しくて。ついつい笑顔になっちゃうんですよ」 「そうかい、ありがとうございやす!」  店主は満足そうだ。どうやら親しみ易いタイプの職人だ。ラーメン職人は、大きく分けて二つのタイプの人間が存在する。ラーメンを愛する人。そして、お客を愛する人。 しかし和美は知らない。実際は両方愛する人が大半だ──。  この店主も、出来る。和美は勝手に後者と決め付けると、思い切って気になることを聞いてみた。 「あの、この時間にお店が開いてて、助かりました。いつも開いているんですか?」 「そうだよ。気付かなかった?」 不覚だ。何度も通った筈なのに。 「味噌ラーメンが売りですか?」 「はぁ!? 全部、旨いよ!」 「あぁ、すみません、余りに美味しくて」 「冗談だよ。味噌ラーメンは一番大切なんだよ」  何だか良く分からないが、看板メニューらしい。それにしても、これは大きな収穫だ。毎日ラーメンは厳しいが、メニューを見た所、チャーハンや餃子、唐揚げに白米もある。 よく見れば、冷奴や酢豚なんてのもある。野菜炒めに、サラダまで。  よし、ここに通うぞ! 和美は満足して店を後にした。
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