それぞれの時間

パノラマの世界

　パパとママ、お兄ちゃんと僕で山の上に来た。
　いつもいる場所よりも、とっても寒かった。

　大きなオレンジのみかんのような太陽が、今まさに山に沈もうとしていた。

　太陽がまるで世界を呑み込んでしまうかのように、神々しく輝き、沈もうとしていた。

　お兄ちゃんなんか、
「ヤッホーーーーーー！！！」
「バカやろうーーー！！！」
　なんて絶叫するもんだから、僕もそれに続いて絶叫した。

　山の上から見た夕焼けは絶景だった。
　僕らはこの世界を独り占めしたような、そんな贅沢な気持ちになることができた。

　そして同時に考える。
　この夕焼けに包まれてる人たちすべてが、幸せでありますようにー……と。

　僕はきっとこの日のことを、ずっと忘れないー……