エンシェントサーガ

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森の奥に古ぼけた石碑が立っている。苔におおわれてもはやそこらの岩石と見間違いそうな、人をかたどった石碑の前には、沢山の供え物がならんでいた。  「森の女神様、今日もきたわ。女神様の好きなベラーシュの花を持ってきたの。」  銀色の長い髪と褐色の肌の美しい女が、祈りを捧げている。  「女神様、どうか長老様の病気が早く良くなりますように。」  女は白いチュニック姿で背中には大きな弓と数本の矢が入った筒をたずさえている。弓には複雑な模様が刻まれていて、それだけで身分が高いことがわかる。スラリとのびた長い足には白い毛皮のブーツ。グリーンの瞳と顔には白い模様が化粧でほどこされていた。  女神像は女がはなしかけても、沈黙したまま、ただそこにたたずんでいた。  「女神様明日も来るわ。明日は川で魚をとってくるわね。」  森の中にひっそりと佇む女の村は、全員合わせても30名もいない小さな村だった。子供は大きくなると村を出て城下町に移り住んだ。村の人口はどんどん減っていき、老人ばかりの村となってしまった。  女は何日か獲物を追っていたが、何も得ることができなかった。森には沢山の生物が住んでいたが、どれもすばしっこく弓で仕留めるのは容易ではない。何日も木の実しか食べていないため、女は疲弊していた。  「また何も獲れなかったわ。みんながっかりするわね。」  
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