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しばらく岩の陰に隠れていると、ギャーギャーと先程のモンスターたちが戻ってきたようだ。アンジェリカがこっそり覗きこむと、三匹増えて全部で五匹のモンスターが、キョロキョロと辺りをさぐっているのが見える。アンジェリカは掌を開いて、五匹だと二人の戦士に伝えた。バーロンとベロスは無言でうなずいた。
ボロボロのヘルメットをかぶったリーダーらしきモンスターが、手に持った棍棒を振り回しながら、何か指示を出している。
「本当に人間がいたのか? 人間の肉はうまい。捕まえて引き裂いてやる!」
「兄貴これを見てください。頭を弓矢で撃ち抜かれました。うまそうな人間の女です。」
「けど兄貴。男の人間、武器を持っていた。俺たち殺されるかも。」
「馬鹿野郎。久しぶりに人間が来たんだ。逃すわけにはいかねー。うまい人間の肉、お前は食べたくないのか?」
どうやらモンスターは人間を食うらしい。アンジェリカは吐き気をもよおした。モンスターの一匹が何かの足跡を見つけて騒ぎ出した。
「兄貴、向こうに向かって足跡がある。追いかけよう。」
ぞろぞろとバーロンたちの隠れている岩と反対側へモンスターたちは走り去った。
「私が足跡をつけておいたのよ。うまくひっかかったわね。」
ベロスは感心して
「よくやったアンジェリカ! 奴らあまり知能は高くないらしい。」
アンジェリカを先頭にこっそりと三人は岩山を登りはじめた。
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