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どれくらい岩山を登ったかわからない。バーロンは一旦休憩をとろうと提案した。
「アンジェリカ、このへんで休めるところはないか?」
アンジェリカは上空をじっとみていた。
「この辺にはハーピーもいないわ。大丈夫よ。」
三人は涼しい岩陰に座り込んで、水の入った袋を取り出すと、ちびちびと口に水を含んだ。
ベロスは鋼鉄で身を固めているバーロンが不思議でならなかった。
「バーロン、よくそんなもの着てこんな岩山を歩けるもんだ。盗賊のアジトに着く頃には、へばってしまっているんじゃないだろうな?」
「まだ何とか大丈夫だ。若い頃よく鎧を着て山を登ってたよ。訓練を思い出すぜ。ベロス、盗賊供のアジトまであとどれくらいだ?」
ベロスはツルツルにはげた頭をさすりながら、答えた。
「俺もここへ来るのは初めてなんだ。噂ではちょうど山の中腹辺りらしい。もうすぐ着くと思うぜ。」
「こんな危険な山に住んでいる連中よ。きっと凄腕の連中だわ。ベロス、本当にあなた話ができるの?」
「奴らとは何度か話をしたことがある。怒らせなければ、宝石がどこに行ったか教えてくれるだろう。もしかしたら奴らが持ってるかも知れねえ。」
「おとなしく宝石を渡してくれるとは思えないわ。バーロン、一体どうするつもりなの?」
「力ずくで奪い取れるとは思えないなぁ。そこは交渉次第だ。その辺はベロスに任せてある。」
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