エンシェントサーガ

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 城下町の東側には様々な店が並ぶ商業区が配置されており、ひときわ賑わいを見せていた。  様々な魔術品を売る店や、フルーツや肉を売る店、酒場や宿屋などが並んでいた。  その一鶴にカワウソの水かき亭があった。1階は酒場2階は宿屋になっていて、肉料理が評判のこの店はこの城下町でも一番人気の店だった。  キッチンでは丸々とこえた亭主が、その料理の腕を振っていた。そしてその料理を運ぶのがこれまた丸々とこえた女将さん。昼間から酒を飲む客で溢れかえっていて、冒険者や旅の商人たちが喉をうるをしている。  冒険者たちがここで酒を飲むのには、また理由があった。ここの女将さんは貴族とも付き合いがあって、様々な仕事を冒険者たちに斡旋していたのだ。貴族の護衛任務から暗殺まで、冒険者たちはここに来れば食いっぱぐれる事はなかった。だが命がけの任務は危険で、いつ死んでもおかしくない。危険なほど報酬は高く、それにつられた無鉄砲な冒険者が何人も命を落とした。明日なき冒険者たちはいつの間にか顔見知りになっていて、ここで情報交換をしていた。酒や宿代で金がなくなった冒険者は、依頼を受け一か八かの賭けに出る必要があった。嫌がりながらも空腹には勝てず、命をかけて死地と赴く。それが冒険者だ。
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