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冒険者の1人、バーロンもビールを飲みながら噂話に耳を傾けていた。短く刈り上げられた金髪とブルーの瞳、腰には大きなロングソードを携えていた。鋼鉄の鎧を着たその男は、この町に来てまだ数ヶ月ほどだったが、明るい性格のため他の冒険者たちに人気が高かった。
「ようバーロン。また飲んでるのか? お前も次の依頼を狙っているのか? 」
声を押し殺しながら、全身にタトゥーの入った小柄な男が話しかけてきた。
「やあベロス。もう金がなくてなぁ。そろそろ働かなきゃならない。」
「実は俺もなんだバーロン。お前と競争するのは気が進まない。そこでだ、今回は手を組まないか?」
ベロスはなかなか腕の立つ冒険者で、このカワウソの水かき亭でも名前が知れ渡っていた。
背中を守ってくれる仲間は、非常に役に立つ。だが裏切られれば、命にかかわるほど、危険だ。バーロンは少し迷ったが、すぐに答えをだした。
「いいだろう。ただし報酬は折半だ。裏切るなよ。」
「へへへへ、お前と一緒なら心強いよ。」
ベロスは腰に下げてあった戦斧をテーブルに置くと、バーロンの正面の椅子に腰掛け、手を叩いて女将さんを呼んだ。
「女将さん、ビールを持ってきてくれ。」
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