エンシェントサーガ

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 アンジェリカは城下町に薬を買いにやってきた。だが薬の値段が高騰していて、金貨が足りないようだ。アンジェリカは必死に食い下がった。  「お願い。今度来た時払うから。金貨5枚で譲ってくれない?」  「ダメだダメだ。うちはつけはやってないんだよ。金がないならとっとと帰りな。」  何よこの人でなし! アンジェリカは心の中でつぶやいた。仕方ない、どうにかして、金を稼ぐしかないわ。酒場にいけば、仕事があるかもしれない。危険だけど、長老様の為だもの。一か八かやるしかないわ。  アンジェリカは冒険の経験がなかった。だが、ずっと森の中で暮らしてきたため弓の腕だけは自信があった。何か問題が起きればみんなで助け合う、それが村の掟だった。掟に従い、アンジェリカは足りない金貨を稼ぐために、冒険者の集まると聞く酒場を探すことになった。  冒険者の噂はよく耳にしていた。ゴブリンやオークのうごめく洞窟に足を踏み入れるのは正気の沙汰ではない。危険な盗賊団や山賊に命を奪われた冒険者の話もよく耳にする。  だがアンジェリカも危険な生物のうごめく森の中で、生き抜く術を身に付けていた。それはきっと役に立つはずだ。森に迷い込んだ山賊たちと戦った経験もある。  「森の女神様、どうか私をお守りください。」  
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