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アンジェリカはカワウソの水かき亭のドアをくぐった。中は冒険者たちであふれかえっていて、みなカタギじゃないのが一眼でわかる。
「あなたがここのボスね。仕事が欲しいのよ紹介してくれない?」
アンジェリカは女将さんに話しかけた。冒険者の様子を見れば、この酒場の様子もすぐにわかる。
「まだ若いのにしにに来たのかい? まあいいさ。ここでやっていくには、あんたには仲間が必要になるよ。おーい、あんた達誰かこの娘の面倒みてやんな!」
いっせいに酒場の中にいる冒険者達がアンジェリカをみた。
「冒険者よりもっといい仕事があるぜ、姉ちゃん。こっちに来て俺に酒を注いでくれよ。」
酔って足がふらついている男が、アンジェリカの腕を引っ張った。
アンジェリカは腕を振り解くと、
「あいにくだけどお断りだわ。私も冒険者になりたいのよ。急いで金が必要なの。誰かいないの?」
ベロスがバーロンに声を押し殺して聞いた。
「おい、どうする? あんな綺麗な姉ちゃんが冒険だってよ。拾ってやるか?」
酔って目のすわったバーロンは、完全につぶれていて、
「あぁあぁん、そうだなあ。旅は道連れって言うしな。おい姉ちゃん、こっちだ。俺たちがピクニックに連れてってやるよ。そこへ座りな。」
「また酔っ払いだわ。どいつもこいつも。でも仕方ないわね。」
アンジェリカはバーロンのテーブルの空いている席に腰掛けた。
「よろしく頼むわお二人さん。私の名前はアンジェリカよ。早速だけど仕事の話をしたいわ。急いでるのよ。」
ベロスが返事をした。
「いいだろうアンジェリカ。まず報酬は3等分だ。裏切りは無しだぜ。今回の依頼は、城から盗み出された宝石を取り戻す仕事だ。盗賊たちが相手だから、かなり危険だぜ。背中に気を付けろよ。」
アンジェリカは無言でうなずいた。バーロンはいびきをかいている。
「今日はゆっくり休みな。出発は明日だ。まずは街の外にいる噂の盗賊団に話を聞いてみるつもりだ。気の短い奴らだから気を付けろよ。」
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