7人が本棚に入れています
本棚に追加
翌朝、バーロン達3人はカワウソの水かき亭を出て、最近城下町を騒がせているという盗賊団のアジトへと向かった。
バーロンはアンジェリカが仲間になったことをあまり覚えてないらしく、不審に思っていた。
「森の住人か?あんた。死にたくなければ、自分の身くらい自分で守るんだな。全くこんな子守を俺たちに押し付けるなんて、女将さんもやってくれるぜ。」
「お言葉ですけど私はもう子供じゃないわ。あなたこそそんな二日酔いで冒険に出るなんて信じられないわ。」
アンジェリカは酒臭いバーロンが不快だった。鼻をつまんで臭いに耐えている。
「そんなに強烈な匂いを発していたら、遠くからでもモンスターに気づかれるわよ。」
ふと、空の上から歌声のような女の声が聞こえてきた。
「ほらごらんなさい、来たわよ。」
ベロスとバーロンは腰の獲物を引抜き、モンスターを探した。上空に三匹のハーピーがせまっている!
「アンジェリカ、後は任せたぞ。ベロス! 俺の隣に来い!」
ベロスは目をこすりながら、バーロンの隣に立ったが様子がおかしい。
「くそ! 眠りの歌だ! 魔法をくらったらしい!」
ハーピーの歌は魔法の呪文だった! ベロスはひざまずくと、そのまま眠ってしまった!
「おいベロス! 起きろ! くそ、アンジェリカ、お前は大丈夫か?」
「私は平気だわ。撃ち落とすわよ!」
アンジェリカは素早く矢を放った! ハーピーの肩に命中した!
「バーロン、そいつは任せたわよ。」
ハーピーは肩をやられて飛べなくなったらしい。上空から地面に墜落した。バーロンが駆け寄ってロングソードでグサリと胸を貫いた! 紫色の血がハーピーの胸から吹き出し、甲高い悲鳴をあげて、動かなくなった。
「よしあと2匹だ!」
仲間が死んだのを見て、残りの二匹のハーピーは逃げてしまった。
うつ伏せで眠っているベロスは、夢をみているようだ。にやにやしながら、何かぶつぶつと寝言を言っている。
「呑気なもんだわ。もうここに捨てていきましょう。」
「馬鹿を言うな。今回はたまたまだ。普段は頼りになる男なんだよ。おい起きろベロス!」
バーロンがベロスの肩を揺さぶると、ベロスはようやく目を覚ました。
「あーすまない。昔の夢を観てたよ。ダンジョンの奥でお宝を掘り当てた夢だ。」
「お邪魔だったかしら。やっぱり起こさないほうがよかったわね。」
最初のコメントを投稿しよう!