大切な思い出

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「『…それから、私の触れる前から娘には傷が付いていたな…お前の仕業であろう?許しを乞うのなら許してやるが、しないならば、お前を人形に変え、飾りとして使ってやる!』」 「や、止め…」 私と二人でいたときよりくたびれたお父さん… 目が少し落ちくぼんで、服はヨレヨレで、ヒゲはところどころ伸びてる… さすがにお父さんが可哀想になり、レイさんを止めようとしたら、そのままキスをされた。 「んっ……」 「ちゅっ…『落ち着きの無い娘だ。このまま人形に変えてやる…』」 「頼む…!俺はどうなっても良い…娘を…蛍を傷つけないでくれ…!!」 「『…お前が娘を傷付けたことを悔やむのなら、この娘を丁重に迎えよう、さあ…』」 「…お、お父さん…」 私は意を決してお父さんに話し掛けた。 いつもお酒を飲んでいると私を叩くお父さん…飲んでいないときも態度が冷たいお父さん…… でも今は、レイさんがそばにいてくれる…なら、安心して… 「ホタル〜??」 素に戻ったレイさんをスルーして、私は続けた。 「こ、この人は、優しい悪魔さんなの…。私のこと、お人形にしたいって…でも、私のこと好きになってくれた…。だから私、この人のそばにいたい…私も…この人のこと好き…だから……」 お父さんが私の言葉を真剣に聞いてくれてるみたい…。 私、笑えているかな…レイさんが私にくれた笑顔で…… 「私、幸せ…!この人と生きて、幸せになるね…!」 「蛍……。蛍が…笑って…。…俺は蛍を……」 「あ……」 お父さんが持っていたものが見えた。この部屋に私達が入る前に見てたのは、写真立てに入った写真…… (3人で…お母さんとお父さんと、3人で昔に撮った……) あの写真は、不器用に笑うお父さんと小さい頃の私と、のんびり屋なお母さんがあどけなく笑ってる3人の写真… (全部捨てたって言ってたのに…) 「俺じゃ、もう……。今まで悪かった……幸せにな…蛍……」 レイさんは優しく笑って、私の手を引いてお父さんのそばまで連れてきてくれた。 お父さんはあの写真と同じように、不器用に笑って私の頭を撫で、目には涙が溜まっていた。
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