出席番号…『A』

3/11
前へ
/11ページ
次へ
「…そ…それって、どういう…?」 と…イチヨちゃん、途惑っている…? 「そのままの意味、だよ」 とか、シオリちゃん…? 澄ました表情のまま、紅茶のカップを口許へと…? 「で…でも、そう、そうだよね」 と…フタバちゃん。 「私たちの中学は…クラス替えは、毎年、だったものね」 とか…取りなすように。 …私。 ちら、と…イツミちゃんをうかがっている。 …なぜなら。 イツミちゃんは…三学年の途中からの、転入生で…。 そして…私たちと仲良しになったのは…卒業式の少し前辺りのこと。 だから…。 この話題には…きっと、入り辛いのでは…? が。 そのイツミちゃんは…そんなふうも無く? にこにこと…みんなを眺めている…? 「でも、私…なんとなく、覚えているのだけれど」 と…シオリちゃんが、ふいに。 「出席番号が…私のあと、だったような」 と。 …え? だって…シオリちゃんは、『ワ行』からはじまる珍しい姓で。 出席番号とか…いつでも、どこでも、最後になるのでは? 「…え? そう、だっけ…?」 と…シオリちゃんと同じ四組だった、ムツキちゃんが。 「私たちのクラスに居た? …ときは、たしか…私とシオリの間に、名前を呼ばれていたのではなかったっけ…?」 「え?」 …と。 シオリちゃん…驚いている…? 「でも、ムツキと私の間って…男子しか、居なかったよね…?」 …と? 「でもさ…誰か…」 「その子の名前…誰か、覚えてる…?」 と…だれかが。 そして…。 …みんなは。 口を噤んでいる…?
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加