可愛いお皿

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可愛いお皿

 一ノ瀬は相変わらず会社では不機嫌そうな顔をしているが理由を知った今は怖くない。しかも前よりも距離が近づいた気がする。短いが仕事以外の会話をするようになったのだから。 「後は表情ですね」  そういうと一ノ瀬が自分の眉間に指で押さえる。 「怯えさせるのは良くないと思っているのだが……、こればかりは難しい」  だが、料理を作っているときの一ノ瀬は楽しそうな顔をしていた。あの時のような顔を自然にできるようになればよいのだろうが、本当はかわいらしい人だと周りに知られるのが嫌だなと思ってしまう自分がいる。 「万丈」  一ノ瀬が見上げている。睨んでいるようにしか見えないが、たぶん心配しているのだろう。 「あ……、仕事に戻りますね」  席に戻ると五十嵐がこっそりと声をかけてくる。 「課長と仲いいですね」 「え、そうだった?」 「はい」  一ノ瀬はいつも通りの表情だった、はずだ。流石は従兄弟。微かな違いがわかるのだろう。  ちらっと視線を向けるとこちらに睨みつけていた。 「あ、あれは本気で睨んでます」  そう五十嵐に言われて、話は休憩の時と今は仕事に集中をすることにした。
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