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課長の趣味は
体を激しく揺さぶられる。
まだ夢の中へといたいのに相手はそれを許してはくれないようだ。
「うー」
伸びをしてゆっくりと目を開けば、不機嫌そうな顔が目に入る。
「なぜ、君がいるんだ」
その顔に驚き体を起こした。抱いていたクマのぬいぐるみはテーブルの上に置かれていた。
「課長を送って、クッションとクマが気持ちよくてそのまま寝てしまいました」
流石に寝落ちはまずいだろう。
「すみません、すぐに帰ります」
鞄はどこだとすぐそばを見ればテーブルの下にある。それに手を伸ばすと、
「待て。この部屋を見てなんとも思わないのか?」
と聞かれた。
「あぁ、ファンシーな部屋ですね」
色々と気になるところではあるが、聞く勇気はなかった。だから黙っていたのに自分の方からふってくるとは。
だが、一ノ瀬はその答えに不機嫌になるのではなく驚いている。その反応に万丈まで驚いた。
「えっと、一ノ瀬課長?」
「あぁ、いや、すまん。ひかれると思っていたから」
どうしてひくことになるのだろう。どんな部屋でも家主がよければそれでいいのではないだろうか。
「お子さんのためですよね。先輩から聞きましたよ。子供と一緒におもちゃ屋にいたと」
「子供、あぁ、だからひかなかったのか。俺は独身だ。それに部屋は俺の趣味だ」
顔を真っ赤に染めていう。
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