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酔っ払いと部屋(万丈)
飲みに行くかと先輩の一人が言い出した飲み会だった。そこに通りかかった社長が俺も参加すると言い出して、他の課も巻き込んだ大規模な飲み会となった。
酒は匂いですら苦手だという理由で飲みに誘っても上司である一ノ瀬は参加したことがない。だが、流石に社長の言葉には逆らえないようだ。
眉間にしわを寄せ不機嫌な表情。流石に社長にはそんな顔をみせることはないが、席を離れた途端にそうなった。
いつもそうだ。周りには怖がられているし、無駄話などしたときには睨んで黙らせる。
それゆえに仕事の話しかしない。しかもわかりやすく短くまとめなければいけない。
オブラートに包む言い方を知らないのか、ぐだぐだと話をするときつく言われてしまうからだ。
仕事はできるし真面目、仕事で失敗した時も真っ先に動いてくれる。そんないい一面もあるのに、すべて見た目の怖さが台無しにしていた。
強面な顔も愛想があれば恐がられずにすむのに。一ノ瀬を見ていたら目が合い、顔には不愉快だと書いてある。
周りにどう見られようが別に構わないようだ。万丈であれば周りを気にして愛想笑いを浮かべていたことだろう。
へらりと笑みを浮かべ、パソコンの画面に目を向けた。
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