少年、少女と出逢う

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「おはよ、周。珍しく早くない?」  電停前、久しぶりに海音の乗る時間帯と重なった。  家はこの電停を挟んで右と左に別れるけれど地元は一緒だ。  お互いこの電停で乗り降りをし、路面電車で通学。  10分に一本は出る朝の時間帯だから、オレはいつもマチマチで海音は大体同じ時間。  重なった時は一学期も数回、二学期になってからもまだ二回目ぐらいか。 「まあ、先に部室にギター置いておかなきゃなってのもあるし、今日は早めだ」  オレらが目指してきた学祭当日。  今日のステージを春からずっと目指してきた。  一緒の塾にドラムをやっているヤツがいて、本当なら同じ学校に入学するはずだった。  だけど、直前で本命私立に行くことにした、と連絡があって。  探したドラマーが海音。  急遽ドラム探しを始めた時にオレが最初に浮かんだ顔は海音だった。  中学の時に吹奏楽部でパーカッションをやっていて、文化祭で海音が叩いてたドラムがめちゃくちゃ良かったから。  かっこいいな、センスあるな、なんて思ってたのが理由の一つ。  学祭まででいいから、なんて拝み倒して海音を勧誘した。  ……間違いだったんだろうか、オレの。  もし四人でバンドを組むことがなければ海音と拓海はただのクラスメートだったのかもしれない。  そうしたら、今みたいに悲しい思いをすることもなかったのかもしれないけれど。    中学の時は同じクラスでずっと近くにいたのに。  同じ高校に入学したってのにクラスはバラバラ。  だけど今度は同じバンド仲間。  この半年一緒にコンテストに出たり、コイツと一緒にいるの楽しかったんだ。  海音には辛い思いをさせたのは自分だったのかも……。  オレの自分勝手なもう一つの理由、仲間でいたいだけで。  振り回してしまったと思う。 「今日、楽しみだね」  なんて普通に笑うから、おうっと目を反らした。  気の利いたことの一つや二つ言えたら、今日という日が何か変わったかもしれない。
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