少女、少年に興味を抱く

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 呼び出されたのは放課後の校舎裏。  面倒だから呼び出しの時点でいつも「行けない」と断るのに。 「来るまで待ってます」なんて泣きながら逃げ出されたら行くしかない。  足取りも気も重い、おまけに雪でも降り出しそうな濃い色をした灰色の雲。  既に真っ赤な目をしたうちのクラスじゃない(多分)女がそこで待っていて。 「ずっと、秋山くんのことがす、」 「悪いけど、誰とも付き合う気ねえから」  最後まで言わせたら恥をかかせてしまうだろうと遮ったのに。 「……、最低、言わせてももらえないんだ」  唇をへの字に結びキッとオレを睨んだ後で走り去っていくのを見送ってから、一仕事終えた気分でため息をついた。 「モテるねえ」  その声に振り返ると、菜々(オマエ)かよ。 「盗み聞きかよ?」 「人聞きの悪い、私の方が先にいたんだけど?」  いつかのデジャヴのような会話。 「すごいね、キッパリした振り方」 「似たようなもんだろ、オマエだって」 「中途半端はダメだよね、周が男らしいヤツだってのはわかった。あ、褒めてるのよ」  クックックと笑った顔は、学校では見せないあの顔だ。   「拓海とアオイは?」  今日は練習の無い日だし、そういう日は三人一緒に帰ってるのをよく見るのだ。 「これのせいで先に帰ってもらうしかなかった」  ため息をついた菜々に見せられたのは呼び出しのメモ。 ―――放課後校舎裏で来てくれるまで待ってます 「もう30分待ってんだけど、多分アオイのファンにはめられたね」  やられた、と笑ってるけれど、な? 「アオイに言わなくていいのかよ」 「いいの、面倒くさい、こういうのにいちいちムキになってたって仕方ない、相手にしない方がいいのよ」  とビリビリとそのメモを破り捨てて。  舞い上がった風にそれをふわりとまき散らした。
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