蝶になった男?

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 蝶を見ていると、自然と顔が綻ぶ。ひらひらふわふわきらきら舞っていたり少し羽ばたかせながら葉に留まって休んでいたりするシンメトリーな姿は華麗であり優雅であり生息している場所も花が百花繚乱と咲き誇っていて美しく、蝶と花がコラボした滋味掬すべき情景を目にしていると言えるからだ。  花の蜜を吸っている時、受粉する時、苛酷な生存競争を勝ち抜いて美しく進化を遂げた者同士が笑い合いながらコンタクトを取っているようで羨ましくなるし、花粉を砂金のようにキラキラ四散させながら蝶が花から花へ移動する様子を見ていると、打算という穢さを一切感じさせない自然な交流と自由を感じて更に羨ましくなる。  何たって私たち大人の交流は一見、和やかに見えても、それは額面通り認識すべきことではなく、その笑顔は自然に生まれたものではなく打算によって生まれたものであって交流場という一つの檻の中でそうすることを余儀なくされる束縛されたものだから羨ましく感じるのは当然だ。
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