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「これ、お願いします。安斎さんは音楽にあまり興味がないようなので、映像のほうがいいと思います」
「わかりました」
何か書かれた紙を受け取った坊主頭は、俺に向かって「オーディオルームにご案内します」と言った。
「オーディオルーム?」
俺がわけもわからず聞き返すと、「ああ。オーディオルームの料金は初回カウンセリング料に含まれるのでご心配なく」と性別不明の人物が言った。俺はやはり金に細かいと思われているのだろうか。
坊主頭に連れられて部屋を出ると、細長い廊下が続いていた。思っていたより広い建物らしい。
「こちらへどうぞ」
坊主頭がドアを開く。先ほどの引き戸と違って分厚くて重そうなドアだ。中はそれほど広くなく、せいぜい六畳ほどだった。
その六畳の部屋で一際目を引くのはスピーカーだった。オーディオにはまったく詳しくないが、かなり高級なものであると素人目にもわかる。スピーカーに挟まれたテレビはそれほど大きくないが、この部屋の広さなら仕方ないだろう。
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